なぜ乾癬を発症するのか、そして原因は何か、いまだ不明な点が多い疾患です。なので、私もこのさき乾癬になるかもしれませんし、それはこの記事を読んでいるあなたも同じです。
人間の皮膚は通常、一番外側の表皮細胞が入れ替わるのに1カ月から1カ月半かかります。しかし、乾癬ではこの表皮細胞の増殖が早くなっており、4~5日しかかかりません。そうなると、表皮の一番外側の角層がどんどん厚くなり、フケがたまるような状態になります。
有名人が自分の病気について公表することは大きな影響があります。乾癬に関しては、道端アンジェリカさんの勇気ある発表で多くの乾癬患者さんが勇気づけられました。
皮膚病はすべてうつる病気だと信じている方をたまに見かけます。そんなことはありません。人にうつる皮膚病は限られています。乾癬もうつらない皮膚病です。どんなことをしても決してうつりません。
乾癬の専門家である日野皮フ科医院(福岡県福津市)の日野亮介先生は「乾癬は感染せんばい(感染しない)」という方言を交えたダジャレで全国で講演会を行い、乾癬に対する啓蒙と誤解を解く真面目な活動を行っています。
乾癬という病気の名前が広まることで、最新の治療にもフォーカスが当たっています。標準的な乾癬の治療は、ステロイド外用剤やビタミンD3外用剤によるものです。PUVAやNarrowband UVBといった紫外線治療を行うことも多くあります。内服治療としては、免疫抑制剤であるシクロスポリンや皮膚の新陳代謝を調節する働きがあるエトレチナート(ビタミンA類似物質)があります。2017年3月からは、免疫を調整する薬剤としてアプレミラスト(商品名オテズラ)が投与可能となりました。
重症の患者さんには、生物学的製剤(通称、バイオ)による治療が可能です。乾癬の病気に関連するシグナルをピンポイントで抑える注射が登場しています。2019年3月現在、レミケード、ヒュミラ、ステラーラ、コセンティクス、ルミセフ、トルツ、トレムフィア(いずれも商品名)の7剤が使用可能です。これらは、それぞれ異なるサイトカイン(細胞から分泌され炎症などを引き起こすたんぱく質)を抑えることで強力に効果を発揮します。定期的に注射を行うことで、キレイな皮膚を取り戻せる患者さんが多くなっています。