(C)Kanendo Watanabe
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 第7回の木村伊兵衛写真賞の受賞作家でもある渡辺兼人の写真展、「真菰は」が、東京・神保町のGALLERY mestallaで開催されている。

 真菰(まこも)は、日本各地の沼や河川、湖などの水辺に群生しているイネ科の植物。大型の多年草で、大きいものになると人の背丈ほどに成長する。葉は編まれて、むしろなどに利用される。

 渡辺は、この真菰を追いながら、荒川や利根川、相模川沿いを丹念に歩いた。被写体は、ただ、「草と空と土」だ。

 街のスナップでは、写真に収めるものは、はっきりしている。被写体との距離感や、人々の表情、仕草などだ。しかし、真菰が群れなす川岸では、どこも似たような風景が広がっている。
 スナップと違い、どこでシャッターを切るのかが難しい、と渡辺はいう。そのため、被写体との距離、絞りやシャッタースピードについても、あえてルールをつくって撮影を続けた。

 水辺でよく見られるありふれた風景が、渡辺に切り取られることで、違ったものに見えてくる。曖昧に感じられた風景が、写真なることで、何か、明確なものに見えてくる。精緻なモノクロームプリントだからこそ浮かび上がる、「写真の力」。ぜひ自分の目で確かめてほしい。

(*「アサヒカメラ」2013年5月号には同タイトルのグラビアが掲載されています。)

渡辺兼人写真展
真菰は

開場名:GALLERY mestalla(ギャラリーメスタージャ)
開催期間:2013年4月22日~5月11日
営業時間:13時~19時
住所:東京都千代田区西神田2-3-5 千栄ビル1F
TEL:03-6666-5500
最寄り駅:神保町、水道橋
休館日:日祝

【関連リンク】
GALLERY mestalla
http://www.gallerymestalla.co.jp/