konore作詞、作曲の「徒花」は、エレクトロニカ的で情景が変化していく歌詞を含め浮遊感が漂う。切なげなkonoreの歌いぶりとコーラス・アレンジの妙、鈴木によるギターも印象的だ。konoreは「泥棒天国」や「物騒な休日」でもキュートでガール・ポップ的な歌いぶりを見せる。
矢部作曲の「夜は許してくれない」は軽快なロック・ナンバーだが、鈴木が手がけた歌詞は“闇で出来てる心”を抱える主人公の話。KONOREが歌い、不思議な余韻を残す。
岩崎作詞、作曲の「リニアの悪夢」はスピーディーなニューウェイヴ風。岩崎と近藤が共作した「とり憑かれた女」は、アイロニック。鈴木の作詞、作曲による「in July」のコーラス・アンサンブルは絶妙だ。
抽象的、文学的でぶっ飛んだ歌詞に戸惑いを覚えながら、ポップなメロディー、軽快で明快、洗練された演奏、サウンドの有無を言わせぬ圧倒的な説得力に溜飲が下がる。とりわけKONORE、岩崎なおみの活躍ぶりが光る。5人5様の個性が混在し、かたちづくる一体感こそ、コンスパの真骨頂。知的で深みのあるロック・アルバムだ。(音楽評論家・小倉エージ)