「冷え性の女性にとって炬燵は助けにもなります。だからといって安心すると脱水状態になるので注意が必要です」

 脱水症状になることと、長時間同じ姿勢でいることが問題のようだ。

「掘り炬燵なら問題がないかもしれませんが、一般家庭にある炬燵の場合、まっすぐ足を投げ出して伸ばした状態で入ります。これは腰に負担がかかります」

 室温と炬燵内部との温度差も問題という。

「部屋をある程度暖めて、温度差がないように入るのが良いと思います」

 電気代の節約のためにと、エアコンを消して、炬燵だけで暖をとる人も多いかもしれないが、あまりにも室内の温度が低い場合は危険という。

 米山医院(東京都あきる野市)の院長で、認知症や脳科学に詳しい米山公啓医師もこう警鐘を鳴らす。

「炬燵に入るときは、室内を暖めたほうがいい。加湿器を使うなど空気中の水分量を増やすこと。夏は脱水で脳梗塞になりやすいといわれていますが、むしろ脳卒中疾患は冬のほうが多いんです。冬は気温差で血圧変動が大きくなるからです」

 米山医師も、炬燵で同じ姿勢でいることが血流を悪化させると指摘する。

「エコノミークラス症候群みたいになってしまうからです」

 予防するには、常に体を動かすことだ。30分~1時間おきに体を動かそう。体の姿勢を変えたり、とにかく楽をせずに細々と体を動かす、「貧乏ゆすり」でもいいそうだ。米山医師はこう話す。

「炬燵にぬくぬくと長く入っていると、血管は拡張したままの状態で血流は停滞します。高齢者の場合、血圧変動が脳に影響を与えることもあり危険。脂質異常症で動脈硬化が進み血管が狭くなっていれば、最悪、死を招くこともありえます」

 炬燵でウトウト。やはりこれが一番危ないという。高齢になると暑い・寒いのセンサーも衰え、のどの渇きも感じにくくなる。脱水状態になっていても気づかないこともありえる。前出の鳥居院長は、炬燵は半身浴に近い状態という。

「半身浴でも汗はかきます。脱水を起こすと体には次々と不調が訪れ、それが先に話した『便秘』や『脳梗塞』、『心筋梗塞』を引き起こします。体質的に悪い状態のときに、起こりやすくなります。危険因子に加え、炬燵が引き金になり発症するのです」

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