年始早々地震に見舞われた日本列島。近い将来起こるとされている南海トラフ地震や首都直下型地震の発生を心配した人も多かったが、日本は火山国というのも忘れてはならない。
気味の悪いデータがあるのだ。M9クラスの地震が起きると、数年のうちに震源から1千キロ以内で必ず噴火が起きているという。地球物理学者の島村英紀・武蔵野学院大学特任教授によれば、1950年以降、世界でM9クラスの地震は計7回。唯一、噴火がないのが2011年に発生してから8年が経過する東日本大震災だけなのだ。
日本はたびたび火山災害に見舞われてきた。14年の御嶽山の噴火は登山者ら58人が亡くなるなど、戦後最悪の火山災害になった。1991年に雲仙普賢岳でも火砕流が発生し、死者・行方不明者43人を出す大惨事となった。
だが、島村氏はこう語る。
「痛ましい災害でしたが、実は御嶽山も雲仙も噴火の規模としては小さかったのです。火山の噴火の規模というのは、軽石や火山灰など噴出物の量で示すことが多い。『大噴火』となると、実に3億立方メートルで、東京ドーム250杯分にもなるのです」
島村氏によれば、日本ではこの大噴火が17~19世紀は100年ごとに4~6回起きており、20世紀に入ると1914年の桜島と、1929年の北海道駒ケ岳の大噴火があった。ところが、以来90年間もぱったりと止まっているという。最近は異常に静かな状態が続いているのだ。
日本には活火山が111あるが、気象庁が特に警戒を強めて常時観測している火山は50。富士山も、首都圏に近い箱根山も含まれている。富士山は1707年の宝永噴火から300年以上噴火していない。
箱根山は2015年にごく小規模な噴火で温泉街から客足が遠のいたことがあったが、本格的な噴火は12世紀後半から13世紀の鎌倉時代のころを最後に起きていない。6万6千年前の大噴火では火砕流が現在の横浜市まで到達したという。