6日から始まる今年のNHKの大河ドラマは「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。日本で初めて五輪に参加した男と、日本に五輪を招致した男の2人が主人公だ。日本人が初参加した1912年のストックホルム五輪から、64年の東京五輪までの激動の半世紀を中心に描く。
主役の一人はマラソン選手としてストックホルム五輪に参加した金栗四三(しそう)で、演じるのは中村勘九郎。金栗は熊本県生まれで、とにかくマラソンが大好き。ストックホルムでの失敗や2度の大戦を経験しながらも、選手、そして教師として走り続ける人物だ。
昨年10月の会見で、中村はこう語っている。
「金栗さんっていうのは一途で、マラソンのことしか考えていなくて、とにかく走ってる。熊本弁で『とつけむにゃあ』(とんでもない)な人。出てくるキャラクター一人一人もチャーミングで、愛があって、すてきな人たちばかり。そこも含めて楽しんでいただきたいと思います」
もう一人の主役は、五輪招致に奔走する政治記者の田畑政治で、阿部サダヲが演じる。病弱だが水泳コーチとして名をあげ、32年ロサンゼルス、36年ベルリンの五輪に参加。「平和の祭典」としての五輪に感銘し、東京五輪実現のキーマンとなった。演じる阿部は、今年の干支のイノシシにかけて、田畑を「猪突(ちょとつ)猛進型」と話す。
「前しか見てない、前しか進めない人。言葉でガンガン攻めていくタイプ。直談判が多くて、常識的ではないところもあり、周りの人が止めるのが大変だったんじゃないかな」
W主演の中村も阿部のセリフの多さには驚く。
「セリフ量が……ぼくはほとんど走ってるだけなんで、(阿部さんは)1回で(ぼくの)24回分しゃべってるくらい」
これにはさすがに阿部も疲れたようだ。
「やばいですよねえ……。ぼくは呼吸忘れてしゃべり続ける(笑)」
スポーツ、そして五輪に情熱を注ぎ、困難にぶつかってもめげない。人々を巻き込みながら物事を成し遂げていく人物像は、金栗、田畑両者に共通している。