建物が倒壊、炎上した現場。建物は跡形もなく吹き飛ばされ、消防隊員らが消火や救助活動にあたっていた (c)朝日新聞社
建物が倒壊、炎上した現場。建物は跡形もなく吹き飛ばされ、消防隊員らが消火や救助活動にあたっていた (c)朝日新聞社
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謝罪会見で社長が手にしていたスプレー缶には「火気と高温に注意」という表示があった (c)朝日新聞社
謝罪会見で社長が手にしていたスプレー缶には「火気と高温に注意」という表示があった (c)朝日新聞社

 雪が降り積もる札幌市の繁華街で16日午後8時半頃に起きたガス爆発事故。火災現場では、消防士がスプレー缶を手にして作業していた。

【爆発したとされるスプレー缶はこちら】



 当初は居酒屋からの出火かと見られたが、隣にある「アパマンショップ平岸駅前店」が火元とされるが、アパマンに納入していたスプレー缶の製造元の担当者は困惑しながらこう話した。

「爆発現場に私どものスプレー缶が転がっていて、驚きました。8畳の部屋に1本ということでご案内させて頂いているのに……。それを一気に120本も使うというのは通常の使い方ではない。お怪我された方々の一日も早い回復を願っております」

 爆発当日、アパマン同店の店長(33)が、店内で窓を開けずに、消臭スプレー120本のガス抜き。室内にガスが充満しているところに、手を洗うために給湯器のスイッチを押したとたん、爆発が起こったという。ビルが吹き飛び、ガラスが割れた。42人の重軽傷者が出た。

 爆発の原因となったのはスプレー缶の中に「ジメチルエーテル」の成分が含まれていたためとみられる。

「今回の消臭スプレーは不動産会社の業務用で、不動産会社専門に卸していた」(前出の製造元)

 ドラッグストアやスーパーなどで売られている一般の家庭用品でも、噴射剤として液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)などの可燃性ガスが使用されていることが多く、火気や高温によって、引火・爆発事故を引き起こすおそれがある。ちなみに、記者の家にあるヘアスプレーを調べてみたら、可燃性の「LPガス/DME」とただし書きがあった。
ヘアスプレーやわきのニオイの制汗・デオドラント剤を販売している花王がこう教えてくれた。

「廃棄の際はスプレーのガスを使い切ってから捨てることをただし書きしていますが、大量の商品を、窓の閉まった部屋でガス抜きするというのは間違った使い方で、炎や火気の近くで使用しないことなど、注意喚起を積極的にしております」(広報部担当者)

 同社では使用説明として、商品の裏に赤字で「火気と高温に注意」などと文字ポイントを大きくして表記するなど工夫。「高温にすると破裂の危険性がある」ことも明記している。

 ドラッグストアなどで一般に市販されている消臭スペプレーでも、現実に事故は起こっていた。国民生活センター商品テスト部の坂東俊秀課長補佐は、こんな事例を上げる。

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