西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「ペットの効用」。
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【ポイント】
(1)ペットとの交流で生まれるオキシトシン効果
(2)オキシトシンはセロトニンの分泌を増加させる
(3)オキシトシンの面からみてもハグは有効
土曜日と日曜日は講演などで出かけることが多いのですが、たまに何もない日があります。そんな日は病院の自室でもっぱら原稿書き。夕方になると、現在は退職して悠々自適の初代総師長のYさんが車で迎えに来てくれます。独り身の私をおもんぱかって、夕食に招待してくれるのです。
Yさんの家に着くと迎えてくれるのは、愛猫のリャンちゃんです。小さな椅子の上だったり、ソファの片隅だったり、場所はそのときによって違いますが、丸くなってこちらを見ています。「おお! リャンちゃん」と声をかけると、「ニャオ」の一声だけで、微動だにしません。
酒席が始まると、私が座っているソファの片隅に移ってきて、やっぱり丸くなっています。それを見ているだけでほのぼのとした気持ちになるから、不思議ですね。なんとなく胸の中が温かくなってきます。まさに癒やしの効果です。
この癒やしを肴に杯を傾けていると、いつの間にかリャンちゃんはYさんのかたわらに。Yさんが抱き上げて首のあたりをマッサージすると、気持ちよさそうに目を細めて、喉をゴロゴロ鳴らします。それを見るYさんも心が安らいでいるのがわかります。
これは、オキシトシン効果というものなのです。
オキシトシンとは哺乳類が共通に持つ神経伝達物質で、視床下部の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンです。このホルモンは人や動物に幸せな気分をもたらします。お互いの信頼感を高める効果もあると言われ、「幸せホルモン」「愛情ホルモン」とも呼ばれています。