会員は約190人。奨学金支援のほか、05年から女子学生向けのセミナーを大学と開催し、今年は広告、航空、ITなど各業界から30歳前後のOGを招き、“ぶっちゃけトーク”が実現。「会に所属しないOGでもセミナーへの協力を依頼すると、快く受けてくれる。後輩に何かしてあげたい母校愛あふれたワセジョが多い」(河野宏子幹事長)

 稲門会の上部組織である校友会だが、力を入れるのは会費収入の確保と在学生支援だ。06年度から「10年会費」(4万円)を卒業年次の最終学期に学費とともに徴収。クレジットカード会社と連携して卒業生向けに「早稲田カード」をつくり、会費が自動的に引き落とされる仕組みもある。こうした仕組みなどを通じて年間約10億円を集める。

 このうち約2億4千万円は在学生支援に充てられる。その一つが返済不要の奨学金。授業料半期分の奨学金が4年間支給される「めざせ!都の西北奨学金」などがあり、約1千人の学生が支援を受ける。期間限定のハンバーグ定食やサバの塩焼き定食などの「100円朝食」は、学生のお財布に優しい。

「こうした支援は校友の支援があってこそ。大学の近況やOB・OGの活躍を紹介する『早稲田学報』を校友に送り、つながりを維持しながら、継続して会費を納めてもらえるよう取り組んでいる」(佐々木豊校友会事務局長)

 学生の獲得に向けた取り組みも出てきている。

 今年から校友会は地域稲門会などと連携して、「早稲田大学演奏旅行」を開始。応援部や音楽サークルを地方に派遣し、演奏会と進学相談交流会を実施。今年は沼津、浜松、名古屋で行った。早稲田大では一都三県の出身の学生の割合が7割を超えており、地方学生の獲得が課題になっている。応援部の小谷太郎さんは当日の様子こう振り返る。

「高校生から早稲田に受かるための勉強法や部活と勉強の両立などについて具体的な質問が多く出た。最後は円陣を組んで校歌を一緒に歌うなど盛り上がった」

 じわりと動き出した早稲田卒業生たち。巨大なネットワークの影響力が、大学や学生に浸透していることは間違いない。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2018年12月28日号より加筆

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