「確か、4、5年前の昌大さんの勤務していた木材会社の旅行だったと思う。あそこは、家族で旅行に参加するのがお決まりです。けど、旅行直前に美紀子さんが風邪だったか、体調を崩した。そう重いものじゃなくて美紀子さんは『唯と一緒に行ってきて』と昌大さんに言った。会社も『美紀子さんも休んでいれば治るし、2人でくれば』と誘ってくれていた。けど、昌大さんは『やっぱり心配だから旅行は行かない』と休んだ。それほど、家族思いでしたよ」(会社の同僚)

 だが、昨年くらいから昌大さんは家族の愚痴を周囲にこぼすようになったという。

「普段は何もないんですが、たまに急にブチ切れてしまう。私にも1度だけ電話があって『美紀子は許せん』『うちの両親は美紀子のかたをもつ』などと理由は言わずに、怒るんですね。けど、今年春くらいかな。会った時はそんな怒りなどはなく、唯さんが小学校にあがり、勉強を教えているんだと嬉しそうだった。それが、事件の3カ月ほど前に、偶然、出くわした時に、『美紀子に変な噂がある。隠れて昔の男とどっかで会っていると聞いた』『俺はいつも仕事が終われば、真っ直ぐ家に帰っているのに、美紀子は俺のほうに女がいると疑う。これだけ真面目に仕事しているのに、許せん』と険しい表情で話していた。そら、誤解だろうとなだめたら『そうだよな』と言い、別れました」(前出の幼なじみ)

 しかし、昌大さんは11月25日夜に、怒りを爆発させて両親や妻、子どもに仲裁に来た松岡さんまで殺害してしまったとされる。

 宮崎県警は、昌大さんと美紀子さんが不倫など男女関係でトラブルになり、殺害に及んだとみている。

「事件後、集落の人に聞くと『ここ数カ月、何度か夫婦喧嘩があった』『ケンカのたびに両親が昌大さんをなだめていた』『両親は昌大さんが何か精神的におかしくて、不倫は美紀子だとか大声で言い、被害妄想のようになっていると周囲に話していた』と言っていました。集落は10軒ほど民家があるだけ。あまりの凄惨な事件にみんな震えているそうです」(前出の捜査関係者)

 12月1日、松岡さんの葬儀が営まれた。参列した友人はこう話す。

「前は本の会社で仕事していたのを『地元に戻り、消防団、農業をしっかりやりたい』と今年夏に五ケ瀬町の田舎に帰ってトマトを栽培していた。農業科の高校だったから『やっと高校時代の勉強が生かせる』と笑っていた。世話好きで、人から頼まれるといやと言えない男。そういう性格ゆえ、仲裁に行って巻き込まれたのかな。葬儀ではお父さんは、泣き崩れ、かける声もなかった」

 昌大さんが6人を惨殺した動機が解明される日は来るのか。(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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