「今年の高3生約390人のうち約130人が推薦入試を希望しました。AO入試を加えるとさらに数十人増えます。例年よりも多いため、国語科の教員は志望理由書や小論文などの添削に追われていました」(同校教諭)

 一般進学コースだけではなく、選抜コースからも推薦入試希望者が出ているのが今年の特徴だという。

「担任が射程に入ると予想する大学よりも1~2ランク下のレベルの大学を選びたいという声が聞かれました。先輩たちの厳しい入試結果を見ているので、志望レベルを落としてでも早めに合格したかったようですね」(同)

 減額措置見送りの影響はまだ見えないという。

「減額措置見送りについては、教員間で温度差があります。大学入試の一動向として気には留めていますが、入試に向けて確かな学力を付けさせたいと考える教員が多いですね」(同)

 東京の中高一貫校である淑徳も、AO・推薦入試を受ける生徒が増えた。同校は1学年約400人。15年にAO・推薦入試を受けた生徒は168人だったが、16年は209人、17年は220人、18年は250人と年々増加している。

「併願できる推薦入試もあるため、まず合格校を確保したうえで志望校にチャレンジする生徒が増えました。小論文や志望理由書の添削、面接やディスカッションの指導など、教員の負担は大きくなりましたが、生徒たちのために教員も頑張っています」(高等部の河井博臣部長)

 同校は4年連続で東大の合格者を出し、10年度から15年度まで国公立大、早慶上理、GMARCHの合格者が右肩上がりに増え続けていたが、入学定員管理の厳格化の影響を大きく受けた。

「厳格化初年度の16年度に合格者数が落ち込み、衝撃を受けました。17年度には多少盛り返しましたが、18年度は多くの大学でさらに合格者数を絞り込みましたから、合格者数をかなり減らしてしまいました。東大などの難関大を目指すコースもありますが、GMARCHが目標の生徒も多いため、痛手でしたね」(同)

 駿台や河合塾の模試でA判定やB判定だった生徒も不合格となり、浪人生も増えたという。

「高3の一番悪いときの成績をみて、安全校も受けるように指導しています。本校は国公立型のカリキュラムなので、センター利用入試は2~3科目型よりも合格しやすい5科目型の受験を勧めています」(同)

 厳しい入試になってからは、私大専願の生徒は10校ぐらい、多い生徒はセンター利用入試を8~10校出願し、計15校ほど受験しているという。

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