米国のハンバーガー。おいしそうだが、食べすぎには注意が必要だ
米国のハンバーガー。おいしそうだが、食べすぎには注意が必要だ
この記事の写真をすべて見る
食前セレモニー (イラスト・あきんこ/週刊朝日2018年11月30日号から)
食前セレモニー (イラスト・あきんこ/週刊朝日2018年11月30日号から)
ボディスキャン (イラスト・あきんこ/週刊朝日2018年11月30日号から)
ボディスキャン (イラスト・あきんこ/週刊朝日2018年11月30日号から)
RAIN(レイン) (イラスト・あきんこ/週刊朝日2018年11月30日号から)
RAIN(レイン) (イラスト・あきんこ/週刊朝日2018年11月30日号から)

“肥満大国”のアメリカなどで注目されている「太らない脳」の作り方。脳科学を活用しており、「マインドフル・ダイエット」と呼ばれている。「脳」を変えれば、今度こそやせられる?

【食事する前に試してみて!マインドフル・ダイエットはこちら】

 イェール大学などで脳科学について研究し、マインドフル・ダイエットを日本に紹介した精神科医の久賀谷亮さんに話を聞いた。このダイエット法には、三つのフェーズ(段階)があると久賀谷さんはこのように解説する。

「フェーズ(1)の中心は『食事改善』で、自分の食べ方のクセ(習慣や依存性)に気付いて、望ましい食べ方に変えていきます。フェーズ(2)では、食べたい欲求が押し寄せてきたときにどう対応するのかを考え行動する『欲求管理』を行っていきます」(同)

 フェーズ(3)「自己充足」は仕上げの段階だ。食べすぎの原因となる心の空洞を満たす方法を身につけて、リバウンドを防ぐ。

 では、フェーズごとの具体的な対策はどうするのか。いよいよここから、五つの科学的メソッドが登場してくる。

 フェーズ(1)「食事改善」のポイントは、自分の食べ方のクセに気付き、変えること。食べ方を一度リセットするイメージに近い。

 日々の食事を毎回、意識して食べている人はそう多くはないだろう。何より、習慣になっている食べ方のクセに気付くのは、なかなかむずかしい。

 そんな人のために、久賀谷さんが提唱しているのが、食べる直前に30秒ほどかけて行う「食前セレモニー」だ。これで、何となく食べる、反射的に口に食べものを持っていくといったクセからの脱却を目指す。これが一つめの科学的メソッドだ。

「多くの人は料理が出されたらすぐに食べ始めますが、マインドフル・ダイエットではそうしません。まず呼吸を整えて、料理の素材や料理法、色や香り、盛り付けなどについて思いを巡らします。また、おなかと相談してどれくらい食べたいのか考えていきます。いつもの習慣を修正するには、こうして“間”をとることが有効です」(同)

 食事中もちょっとした気遣いを。よくかんで料理の味や硬さの変化を感じる。料理に考えを巡らせている間は、箸を休めて置くのも一つの手だ。食べ終わった後の満足感もしっかり意識したい。反対に、スマホやテレビを見ながらの「ながら食い」は、食べることに集中できないため、できれば避けたい。

 二つめの科学的メソッドは、食前セレモニーを続けられるようになったら、「空腹時のWHYチェックリスト」を作ること。

 本来、食事はおなかが空いたときに取るものだが、食べ方に問題がある人は空腹でなくても食べたくなってしまう。イライラするから、退屈で何となくなど、人によって理由はいろいろ。「チェックリスト」は、それを認識するための材料になる。

 なぜ、おなかが空いていないのにもかかわらず、食べものを欲しくなるのか。久賀谷さんは、「食べものを口にすると脳の快楽系が働くため」と説明する。

次のページ