『マイセルフ・ホエン・アイ・アム・リアル:ザ・ライフ・アンド・ミュージック・オブ・チャールズ・ミンガス』ジーン・サントロ著
『マイセルフ・ホエン・アイ・アム・リアル:ザ・ライフ・アンド・ミュージック・オブ・チャールズ・ミンガス』ジーン・サントロ著

 チャールズ・ミンガスは、20世紀を代表する革新的なジャズ・ミュージシャンに数えられ、また、チャールズ・アイヴス、デューク・エリントンと同様に、アメリカを代表するコンポーザーの第一人者と位置づけられている。

 彼は生来、神経質で鋭敏なロマンチストだった。彼のその気性が、音楽におけるテクスチュアの無限の変化と強烈な表現を生み、また私生活にも波乱万丈をもたらした。

 高名な音楽評論家ジーン・サントロは、神話化された"ジャズの怒れる男"の謎のヴェールを剥ぎ取り、彼の実像に迫る。そして、チャールズ・ミンガスが、親しい友人の理解をも超える複雑怪奇な人間であることを明らかにする。

 著者サントロは、数々の新しいインタヴューや未公開の文書及び古記録類の資料に基づき、生彩を放つ小説風の文体で綴る。本書『マイセルフ・ホエン・アイ・アム・リアル』は、チャールズ・ミンガスという類い稀な人物と彼が創った類い稀な音楽の錯綜した関係を探る、一読に値する伝記である。

●書評の紹介

 ジーン・サントロの綿密な調査に裏打ちされたこの型破りな伝記は、"ジャズの怒れる男"と彼の音楽ばかりか、ミンガスが躍動した時代をも検証する興味深い評伝である。著者はミンガスを、戦後アメリカの動乱期に、政治的に社会的に芸術的にアイデンティティーを見い出すべく奮闘した中心人物に配している。(ボストン・グローヴ)

 サントロが書きおろした意欲的で実に面白い伝記だ。この本には、主人公の優れたジャズ・ワークショップ・アンサンブルが演奏するブラヴーラ(難しい技巧を必要とする華麗な曲またはパッセージ)の強烈なパワーがある。(サンフランシスコ・クロニクル)

 経験豊かなジャーナリストの洗練された筆致と第一級の耳をもつミュージシャンの洞察力によって著された本書は、謎めいた人物の精神生活に光を当てるという一見不可能なミッションを完遂した。(ロサンゼルス・タイムズ)

●著者の紹介

 ジーン・サントロは、編集者及びミュージシャンの職歴を経て、ニューヨーク・デイリー・ニューズの音楽評論家とネイション・アンド・チェンバー・ミュージックのコラムニストを務める。また、アトランティック・マンスリー、ニューヨーク・タイムズ、ヴィレッジ・ヴォイス、スピン、ローリング・ストーン、ダウン・ビートにエッセイや記事を寄せる。著書には他に、『ダンシング・イン・ユア・ヘッド』、『スティアー・イット・アップ』がある。