人気キャスターの小倉智昭さん(71)が5日、司会を務めるフジテレビ系の情報番組「とくダネ!」のエンディングで、膀胱(ぼうこう)がんのために膀胱の全摘手術をすることを発表した。病院で検査などを受けるため6日から9日までは番組を休み、11月下旬からは「根治させるため」と手術など本格的な治療で長期休養するとも明かした。
いつも番組の最後は出演者と冗談などを交わしながら笑顔で終わることが多い「とくダネ!」だが、この日は「私ごとで申し訳ないのですが」と神妙な面持ちで切り出した小倉さん。2016年5月には膀胱がんであることを公表しており、内視鏡治療などを行っていたが完治はしていなかった。当時から医師には「全摘(手術)をしなければ完治しませんよ」と言われていたが、「どうしても膀胱を温存したくて」と免疫療法などもしていたことを明かした。だが、今夏に激しい出血があり、止血手術のため「夏休みを取ったと言いながら病院に入院していた」と小倉さんは打ち明け、10月にも20日間ほど膀胱炎を併発したこともあり、全摘することを決意したと話した。
膀胱がんは、俳優の菅原文太さんや松田優作さんが患っていたことで知る人も多いだろう。「国立がん研究センター がん情報サービス」によれば、女性と比べると圧倒的に男性に多く、男女とも60歳を超えて罹患する人が増えるという。小倉さんは現在、がんの転移はないというが、「浸潤(しんじゅん)がんといって筋肉層まで入っているタチの悪いがんがあった」とも明かした。この浸潤がんがある場合は、治療法などが変わってくるのだろうか。ここでは膀胱がんの治療法について解説する。
* * *
膀胱は、尿を排泄するまで一時的にためておく袋状の臓器で、内側は伸縮性のある粘膜で覆われている。膀胱がんのほとんどはこの粘膜の表面に乳頭状にできる「表在性がん」で、粘膜下の筋層(きん・そう)まで達しない浅いがんだ。この場合、専用の内視鏡で腫瘍を削り取るTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)という治療に、再発予防のために抗がん剤やBCG(ウシ型弱毒結核菌)の膀胱内注入も併用される。