(7)農業、畑仕事をする
何をどう育てるかを考える「知的活動」と実際に作業をする「運動」の二つの要素をもっている。さらに収穫という報酬、達成感が得られるため、おすすめだ。
(8)日記を書く。記録する
文字を書くことは知的活動で、その日に起きたことを脳が復習するいい訓練になる。ときどき、過去に書いたものを読み返すと、回想療法の効果も期待できる。
(9)新聞を読む。読書をする
新聞を読むことは、世の中の出来事に関心をもつこと。認知症になると、関心がなくなるので、日々、関心を失わないように新聞や本を読む習慣をもつことが大切だ。
(10)バランスのとれた食事をする
認知症予防に効果があるとされる食材や栄養素があっても、そればかり偏って食べていてはよくない。老夫婦の食事は、同じようなメニューになりがちなので、バランスよく食べる工夫をする必要がある。
(11)よくかんで食べる
高齢になると、よくかめない人も増える。かめないと、生野菜などを食べる機会が減り、結果、栄養も不足してしまうことがある。
(12)適切な睡眠習慣をもつ
夜6~8時間の睡眠と30分未満の昼寝が推奨される。昼寝は寝すぎると、夜眠れなくなり、生活リズムを崩してしまうので、注意が必要だ。
(13)現役で仕事を続ける
認知症が発症しても仕事を続けている人は進行が遅いといわれている。元気な人は、現役時代と違う仕事に挑戦することもいい。認知機能が衰えている人は、やり慣れた仕事を続けるのがいいとされる。
(14)役割をもつ。人から頼りにされる
仕事を続けるのが難しくても、地域やコミュニティーに参加し、仲間から頼りにされることは必要だ。存在価値を認められて生きがいになり、生活に張りが生まれる。
(15)クロスワードパズルなどで脳トレをする
知的活動の一つで、楽しみながらおこなうことが大切だ。認知症予防のためと、いやいやおこなうのでは意味がない。
健康長寿の方々の生活には共通する習慣があり、それらは認知症予防につながる習慣といえる。日本認知症予防学会理事長の浦上克哉医師に、15の項目について解説してもらった。
「認知症予防の三つの柱は、『知的活動』『運動』『コミュニケーション』です。ここで挙げる15の項目はいずれも、三つの柱に関連している習慣です」
すべて、読者の生活の中にとり入れてほしいことばかりだが、浦上医師は「大事なのは、習慣化すること」と言う。
「どんなに予防効果があるといわれるメニューでも、続けられなければ効果は期待できません。たまにしかできないようなことより、続けられることに挑戦するのがよいでしょう。そのためには、楽しみながらできるかどうかも大切です」
いろいろ試してみて、無理なく続けられることを自分の習慣にしていこう。(認知症ムック取材班)
※週刊朝日2018年11月9日号