骨密度は思春期までの食生活や運動量などで決まる。骨量は男女ともに20代がピークで、その後30年ほどは同じ状態。50代以降は1歳ごとに約1%ずつ骨のカルシウム量が減る。女性は閉経後、「骨をつくれ」と指令を出していた女性ホルモンが減少。このため、50~60歳の間に、骨のカルシウムが10~20%減ってしまう。
「血液中のカルシウムは、筋肉や心臓の正常な収縮を保ち、神経の情報伝達を助ける働きなどがあります。人間の体には血中カルシウム量が一定になるしくみがあり、不足すると、背骨や太ももの骨を溶かして補おうとします。そのため、骨がもろくなり、スカスカになって背骨がつぶれる。少しの衝撃でも折れやすくなります」(林医師)
骨を弱くする要因は食生活にもある。小魚、豆腐、乳製品などをあまりとらない生活、喫煙や毎日2合以上の過度な飲酒などは骨折リスクを高める。糖尿病などの病気もマイナス要因だ。
骨粗鬆症が原因で骨折したり、骨密度が基準値以下になったりした場合、薬で治療することになる。
「骨粗鬆症と診断されると、骨を壊す細胞の働きを抑えて骨が壊れにくくする薬や、カルシウム薬、活性型ビタミンD3薬、ビタミンK2薬などを処方します。食生活を改善して、普段から適度な運動をすることも必要です」(同)
骨を強くする3要素が、栄養、運動、日光浴だ。
食生活で重要なのはカルシウムだけではない。体内に吸収されたカルシウムが骨になるのを助けるビタミンK、小腸からのカルシウム吸収を促すビタミンDも欠かせない。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、1日あたりの推奨摂取量は、カルシウムが男性(50歳以上)700ミリグラム、女性(15歳以上)650ミリグラム。ビタミンDの目安量が男女(18歳以上)ともに5.5マイクログラム、ビタミンKが同150マイクログラムだ。
カルシウムの多い食品は牛乳、ヨーグルト、豆腐など。ビタミンKは緑黄色野菜に多く含まれ、ビタミンDはニシンやイワシなどに含まれる。こうした食材を毎日の食事に取り入れ、骨を強くしたい。
ビタミンDは食事以外でも、紫外線を浴びることで皮下でつくられる。林医師は「ビタミンDがつくられる量は、住んでいる地域や季節の紫外線量などによっても異なります。日照時間の少ない東北や北海道は紫外線量が少なく、1日10分以上は外出して歩くようにしましょう。関東に住む人はおよそ7~8分、西日本は5~6分ぐらいが目安になり、冬は2倍にします」と話す。