たぶん、感謝の言葉とか、そういうことじゃないだろうね。あなたはこういうところが足りないから、もっとこうしたほうがいい。もっとしっかりしなさい。そういうアドバイスだったんじゃないかな。それを聞けたら、僕の人生ももっと変わっていたかもしれない。僕の人生で心残りがあるとしたら、それだけだなあ。
妻が死んで僕が元気がないっていうんで、昔の仲間が「またハワイアンバンドをやろうよ」って言ってくれた。いろんなステージで演奏させてもらったりしているうちに、レコード会社から声がかかって、96年11月に「Hawaiian Christmas」っていうクリスマスソングをウクレレで弾くっていう、一風変わったCDが出たんだよね。
そのうち、NHK教育でウクレレを教える番組をやることになった。まさか、NHKで雷様の格好をするとは思わなかったな。堅そうで、けっこう大胆な局だよね。
――今では、ウクレレも、ドリフの経験も一体となって高木ブーという人間をつくっている。
ウクレレは、おかげさまで楽しくやらせてもらっています。CDも何枚も出して、モー娘。とのコラボもあり、このあいだはももクロのステージにも出ました。もちろん、ドリフの高木ブーだからってこともあるんだけど、ウクレレのおかげで、高木ブーという人間を必要としてもらえるのは、ありがたいよね。
10年前にハワイのウクレレ・フェスティバルに呼ばれたのは、うれしかったなあ。まねごとで始めたハワイアンだったけど、本場の権威あるステージに立てたんだもんね。
以前、カメハメハ大王の子孫で、ハワイ大学の教授をしている人間国宝の方に、ハワイアンネームを授けてもらったんです。ハワイ文化の普及に貢献したからだって。日本人では、フラダンスをやっている女性でもらった人はいるけど、男性ではたぶん僕ぐらいじゃないかな。「ホアコクア」って名前で、ハワイ語で「友達を助け支えになる。精霊を分け与える」っていう意味らしいよ。
(聞き手/石原壮一郎)
※週刊朝日2018年11月2日号