薬物療法の進歩により、病気の進行を遅らせ、健康な人と変わらない日常生活を送れるようになってきた慢性閉塞性肺疾患(COPD)。薬の種類も増え、病状やライフスタイルに合った薬剤を選択できるようになっている。
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺の機能が落ち、生活の質を著しく低下させる。現状では根本的には治せず、壊れた肺を元の健康な状態に戻せない病気だ。
日本の標準的診療指針となる「COPD診断と治療のためのガイドライン2018(第5版)」が、2018年4月に5年ぶりに改訂された。
ガイドライン作成委員会の委員を務めた、日本大学板橋病院呼吸器内科主任教授の權寧博医師はこう話す。
「現段階で推奨する薬物療法について、最近使えるようになった薬も含めて薬剤の使い方を整理しました。薬剤の進歩は目覚ましく、上手に使うことで症状をとり、進行をある程度防げるようになっています」
早期に発見し、適切な治療を受ければ、健康な人と変わらぬ生活が長く送れるようになる。
「狭くなった空気の通り道に働く気管支拡張薬が進歩したことと、2種類の気管支拡張薬を組み合わせた配合薬の登場により、気管支を強力に広げることができるようになりました。増悪も抑制可能になり、病気の進行をおさえることもできます」(權医師)
増悪とは、COPDの症状が突然に悪化すること。増悪を繰り返すことで肺の機能は一気に悪化していき、酸素ボンベを手放せない生活に近づいていく。また、増悪が起きるタイミングで、脳卒中や心筋梗塞などの心疾患を起こしやすいとされている。増悪を起こさないようにすることはCOPDの症状を管理するうえでの重要なポイントだ。
薬物療法がもたらす最大の効果は、肺の機能が改善され「動けるようになる」ことだ。COPD患者で、身体活動性の低い人と、軽い運動をする活動性の高い人を比べると、後者のほうが圧倒的に死亡率が低いことが明らかになっている。