10月6日に閉じた築地市場 (C)朝日新聞社
10月6日に閉じた築地市場 (C)朝日新聞社
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10月11日に開業する豊洲市場 (C)朝日新聞社
10月11日に開業する豊洲市場 (C)朝日新聞社
フォークリフトについての豊洲市場の貼り紙=中澤誠氏提
フォークリフトについての豊洲市場の貼り紙=中澤誠氏提

 東京・築地市場(中央区)が10月6日に最後のセリを終え、83年の歴史に幕を下ろす。11日から豊洲市場(江東区)の営業が開始されるが、問題は山積したままだ。

【フォークリフトについての豊洲市場の貼り紙はこちら】

 16年9月、豊洲市場の主要施設の下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題が発覚。小池百合子・都知事が当初16年11月に予定していた移転の延期を表明してから2年がたった。

 都は地下水の対策工事を行い、専門家会議の評価を受けて、7月に“安全宣言”した。

 だが現在も、環境基準の170倍のベンゼンが検出されている地点がある。猛毒のシアンも23カ所中17カ所で検出されている。地下水位も高い状況にあり、不安は解消されていない。

「食の安全」問題もさることながら、豊洲市場の施設の驚くべき“欠陥”が、ここにきて明らかになっている。

 仲卸業者が入る「6街区」のあちこちに不可解な貼り紙が掲示された。

<積載荷重 2.0・2.5トンフォークは、1パレット800キログラムでの運用をお願いします>(写真参照)

 2.0トンフォーク、2.5トンフォークとはそれぞれ2トン、2.5トンまでの荷を載せられるフォークリフトのことだ。パレットは魚など水産物を入れる容器で、それを800キログラムまでに抑えろというのはどういうことなのか。

 東京中央市場労働組合の中澤誠・執行委員長が憤る。

「あり得ない話です。フォークリフトで荷役作業が行われる一般的な物流倉庫では、1平方メートル当たり1.5トン程度の床積載荷重が確保されることが常識です。ところが、豊洲の仲卸売り場の床は1平方メートル当たり700キログラムしか確保されず、市場問題プロジェクトチームの会合でも何度も問題視されてきました。しかし、都も設計会社も、『問題ない。大丈夫だ』と言い張っていました。この貼り紙が示すのは、豊洲市場は床積載荷重が足らず、重大な設計ミスがあると白状しているようなものです」

 2.5トンフォークは車両重量が約4トンあり、床への負荷が大きいから荷重は800キログラムに制限される。それに比べて、1.5トンフォークの車両重量は2.5~3トン程度と軽いためか、荷重は1トンまで可能という。

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都は市場問題プロジェクトチームで…