今はお疲れさまと言いたい。だけど、今年もテクニカルコーチであったわけだし、鈴木葉留彦球団本部長も何らかのポストを用意する方針を示したという。どういった形で携わるかは別として、将来の西武を背負う指導者になってもらいたいと心から願う。

 それにしても、広島は新井貴浩、西武は稼頭央と、チームの精神的支柱が引退することが、チームに見えない力をどう与えるか。86年の西武と広島の日本シリーズは、史上初めて第8戦にもつれ込んだ。その時は私も現役だったが、第1戦の引き分けの後に3連敗し、一時はあきらめかけたことを覚えている。ただ、工藤公康(現ソフトバンク監督)ら若手の力で盛り返すことができた。

 短期決戦はチームの力を倍増させるし、その経験はレギュラーシーズンの何倍もの糧となる。「新井さんのために」「稼頭央さんのために」といった思いはチームを一つにするはず。稼頭央が会見で「涙は最後、うれし涙にとっておきたい。日本一で、ですね」と話していた。チームを後押しする大きな言葉となる。

週刊朝日  2018年10月12日号

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