2014年10月23日に脳梗塞を発症し、1カ月半ほど治療とリハビリを受けていた磯野貴理子さん。好評発売中の週刊朝日ムック「突然死を防ぐ脳と心臓のいい病院2019」で、発症したときはどうだったのか、現在の生活について、お話を伺いました。
* * *
――脳梗塞を発症されたとき、どんな状況でしたか。
2014年10月23日、夕方5時から舞台のリハーサルがあったんです。その時間に私が現場にいないからと、夫が家まで来まして。前日にお酒を飲んでたからちょっと二日酔い気味だなと思いながら、準備をしていたのです。そのときに私がうまくしゃべれてなかったみたいで、「どうしたの? ちゃんとしゃべれてないよ?」みたいなことを言われました。しばらくしたら救急車を呼んだからと言われて。私としては「ただの二日酔いなのに、やめてよ大げさな!」という感じでしたね。
――そのとき、なにかからだに異常は感じていたのですか?
左腕を触ったときの感覚が普通じゃなかったのは覚えています。マネキン人形を触っているような、自分の肌じゃない感じ。「こんなの初めてだな」と思っていました。救急隊員が来たときも、左腕の感じが変だと言ったら、「左のほうの顔はどうですか。触ってみてください」と言われたので触ったら、腕と同じ感じがしたんです。それを伝えたらすぐに病院に運ばれました。
■次第に知る脳梗塞の怖さ
――病院に着いてからはいかがでしたか?
当時のことはあまり覚えていないのですが、先生が夫や私に「何時間前からこんな感じですか?」などと聞いていました。その後、脳梗塞と告げられたんですが、最初は、脳梗塞って病気をよくわかっていなくて、へぇって感じでしたね。「この後リハーサルに行かなきゃ。次の日も仕事行くから」って言ってたら、夫に「このまま入院だよ」って言われて、じゃあしょうがないかと。
運ばれた病院で治療を受けてからリハビリ病院に転院したんです。リハビリを受けに行くと、先生から名前や誕生日、現在地、病院名などを毎日聞かれるんです。あるとき、先生がボールペンを指して、「これは何ですか?」って聞いてきたとき、「毎回そんなふうに聞きますけど、間違える人いるんですか?」と言ったら、「このボールペンを腕時計って言う人がいるんですよ」と言われてびっくりしました。「私そんな病気になってるの!?」と思って。そのあたりからですね。ちょっと怖い病気になってるんだと思ったのが……。
リハビリ中や、退院後、手のまひはまったくありませんでした。ただ、1カ月半しか入院してないんですけど、体力がすごく落ちているのにはびっくりしました。脳の病気というのもありますが、頭もからだもすぐ疲れるんです。今はまったく元に戻って疲れなくなりましたね。