このように、現状では佐喜眞優勢を示す材料が目につくが、最大の不確定要素は県民の翁長への思慕にある。玉城の街頭演説には、那覇市議会1年生議員で、31歳になる翁長の次男・雄治がしばしば随行し、亡き知事の存在を印象づけている。
17日には、玉城を支援する若者グループが、那覇市内に翁長のイラスト横断幕を掲げ、「追悼の集い」を催した。
「まるで父親を失ったショックでした」
「会ったこともない政治家なのに、その訃報(ふほう)に涙があふれました」
選挙への言及を排した集まりに、道行く人も神妙な表情で足を止めていた。
実際、生前には賛否両論だった県政への評価だが、命の間際まで戦った翁長その人には、深い畏敬(いけい)の念が広がっている。この選挙戦においては、佐喜眞陣営も翁長批判を封印する。
人々の思慕は選挙戦終盤、政治的選択にもつながっていくのか。自公「勝利の方程式」は“翁長の影”と対峙(たいじ)することになる。
※週刊朝日 2018年10月5日号