県議や那覇市長時代からの古い翁長支持層には、「自分の票は玉城に入れても、運動員として動く気持ちにはなれない」と語る人たちも存在する。

「翁長さんの突然の死でガックリと気が抜けてしまい、やる気が出ないんです」

 もちろん、翁長後援会は玉城の支援を決め、選対にも人を配している。

 翁長の親戚でもある後援会長の国吉真太郎は言う。

「私自身、翁長知事が玉城さんへの期待を語るのを直接聞きましたし、翁長支持者には“ゴリゴリの自民党”というタイプはあまりいませんから、対応はしやすいです。翁長さんもそうですが、父親の助静さん(旧真和志市=現那覇市の一部=で市長などを務めた)もリベラルな政治家で、社会大衆党(中道左派政党)から出てもおかしくない人でした。政治家になる前は元教師。翁長後援会の古い人たちは先代の教え子が多いのです」

 そうした緩やかな人間関係の後援会組織には、まるごと他候補を支援するような“指示の徹底”は難しい面があるらしい。

 実際過去4年、「オール沖縄」の内部で旧自民党の保守勢力は弱体化を続けてきた。その象徴的な出来事は、那覇市長だった翁長に対し、非自民の立場で知事選への立候補を促した那覇市議会の元自民党会派「新風会」(当時12人)が内輪もめや市議選敗北などを経て消滅したことだった。

 代表的立場にいた元市議会議長の金城徹らは昨秋、全県の保守系市町村議に呼びかけて政策集団「新しい風・にぬふぁぶし(北極星)」を立ち上げたが、那覇新風会時代からの“直参”として表立って動くのは、ほとんど見当たらなくなった。

 保守政治家として「オール沖縄」の衆議院議員を1期務めた仲里利信(沖縄4区)は、じりじりと保守の翁長支持層が削り取られてきた背景を、こんな風に説明した。

「保守の有権者には、自民が勝てば経済がよくなる、と根拠なく信じる傾向が根強くあるんです。政府の沖縄振興予算は、大田昌秀・革新県政の時代がピーク。保守知事のときのほうが減っています。でもそんな説明はなかなか聞いてくれないのです」

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