


豊洲市場への10月の移転まで、間近に迫った築地市場(東京都中央区)。業者の引っ越し準備も進むが、近隣の店舗や住民らにはある大きな不安がある。「ネズミ問題」だ。
築地市場内には、数ははっきりしないが数千匹はネズミが生息していたとみられている。えさが豊富な市場が閉鎖されれば、周辺に逃げ出すかもしれないのだ。
東京都は5月、8月、9月15~17日に、殺鼠(さっそ)剤や粘着シートを使って、大がかりな駆除を実施した。
その結果、捕まえたのはなんと合計1653匹。内訳は5月が699匹、8月が739匹、9月は速報値で215匹。
それぞれ使用した粘着シートは、5月が4800枚、8月が5400枚、9月が7000枚。使用数を増やしてきたが、捕獲数は減っているのだ。都築地市場管理課の担当者は成果を強調する。
「全体の母数を減らすことができている。特に8月のお盆の駆除を終えて、『前よりずっとネズミを見かける数が減った』といった場内関係者の声が増えました」
出没するのは大多数がドブネズミだ。都などによると、体長22~26センチほどで泳ぎが得意。動物性たんぱく質のえさを好むため、鮮魚が全国から集まる築地市場はまさにパラダイスだ。
ほかにも、ドブネズミより一回り小さいクマネズミも出没する。体長18~2センチほどで、特技は木登りや綱渡り。穀類や植物、果実などを好むため、市場の青果部によく現れるという。
都は9月22~24日の3連休も駆除を実施する。警戒心が強いクマネズミ対策として、殺鼠剤の置き方も工夫するという。まずおとりのえさを置いて警戒心を弱めてから、数日後に毒入りのえさにすり替える方法だ。
ネズミの流出を防ぐため、市場の外壁やフェンスには防鼠ネットなどを張り巡らせている。隅田川沿いの護岸沿いにも、ネズミ捕りのかごを大量に設置している。