9月20日に投開票が行われる自民党総裁選の下馬評は、安倍晋三首相の圧勝と言われるが、その裏で安倍陣営がなりふり構わぬ選挙戦を展開している。
【下村博文衆院議員名で送った “動員要請”ファックスはこちら】
ここに<緊急 安倍晋三候補「東京街頭演説会」のご案内>というタイトルが打たれた、FAXがある。
発送人は、「安倍総裁三選を応援する有志の会」の代表・下村博文衆院議員と記されている。
だが、FAXの送信記録から、9月14日に麻生派の衆院議員後援会より、東京都内の業界団体に発信されたことがわかる。
内容は総裁選の前日19日水曜日午後5時からJR秋葉原駅電気口街で開催が予定されている安倍首相が単独で行う「東京街頭演説会」へ業界団体に「動員」を求めるものなのだ。
FAXの下には<出欠表>があり、業界団体の名前を記し、参加人数を書くようになっている。
現職の安倍首相が「圧勝」という下馬評が高い情勢のさなか、業界団体にまで“動員”を要請する理由は何なのか。
「前回、安倍首相は地方票で石破氏に負け、国会議員票で逆転して辛くも首相の座を勝ち取った。今回は、地方票で石破氏にダブルスコアで勝ち、国会議員票も勝つと宣言してしまった。言ってしまった以上、やるしかないので、実はなりふり構わない、選挙態勢を敷いています」(安倍陣営の国会議員)
今回の「動員」FAXもその一つだという。FAXの発送をしている「安倍総裁三選を応援する有志の会」は全国の自民党の都道府県連の中で安倍首相に近い国会議員や地方議員が音頭をとり、結成されているという。
地方票は自民党の党員に投票権がある。党員を多く抱えているのが、業界団体だ。
「有志の会をあちこちで立ち上げ、そこで引き締めをはかり、地方票をより強固に獲得しようというもくろみです。とりわけ、組織票を持つ業界団体に対して、現職の強味をいかして、徹底的にプッシュしています」(前出・安倍陣営の国会議員)
だが、ともすればそれが反発を招くこともある。