(7)「頭痛持ちだから仕方がない」→「くも膜下出血」「脳出血」に注意!!

 地域のかかりつけ医として在宅医療などを行う、鈴木内科医院(東京都大田区)の鈴木央さんが気をつけているのは、頭痛持ちのキケンな痛み。「くも膜下出血」や「脳出血」だ。くも膜下出血とは、脳を覆うくも膜の下にある動脈が出血する病気。動脈瘤という動脈のコブが破れることで発症する。脳出血は脳内の細い動脈が破れて出血する病気。血圧が高い人に見られる。

「急に頭痛が起こった人であれば、キケンな頭痛かどうか真っ先に考えます。問題は頭痛持ちの人。今までとは違った痛み方をすると訴えられた場合、くも膜下出血などがないか、必ず確認しています」(鈴木さん)

 ちなみに、キケンではないが、「副鼻腔炎」など鼻や目、耳の病気でも頭痛が起こることがある。

(8)「ふくらはぎが痛い。歩きすぎ?」→「下肢閉塞性動脈硬化症」で足が壊死!?

 下肢閉塞性動脈硬化症は、下肢の血管が動脈硬化で詰まることで起こる。そのまま放っておくと足の壊死にもつながる。

「歩くと生じるふくらはぎの痛みが特徴です。片方に起こることが多い。整形外科の病気である脊柱管狭窄症と間違えやすい病気ですが、問診などで鑑別診断は可能です」(安藤さん)


 なぜ関連痛や放散痛が起こるのか。患者の症状などから病気を診断するエキスパート、総合診療医の生坂さんが解説する。

「関連痛や放散痛で覚えておきたいのは、『体性痛』と『内臓痛』です」

 体性痛は皮膚や骨、関節などが傷ついたときに生じる痛みで、太い神経によって伝わる。「ここが痛い」と指をさせるような痛みだ。

 一方、内臓痛はその名のとおり、内臓が病気などで障害を受けたときに生じる痛みだが、神経が細くて、かつまばら。「何となく奥のほうが痛い」とか「痛む場所がはっきりしない」というのが特徴だ。

「関連痛や放散痛が起こるメカニズムはこう。内臓痛を伝える神経は、体性痛を伝える神経と脊髄で合流して、脳につながります。そのため内臓の痛みを体性痛と脳が誤って認識し、心臓の痛みでも肩やあごが痛い、というように感じてしまうのです」(生坂さん)

 ちなみに、痛みがあると「がんでは?」と不安に思う人も多いだろう。だが、今回の取材で多くの医師が話していたのは「がんの場合、初期症状で痛みが出ることはほとんどない」ということ。たいていは無症状で、あっても出血(下血や血便、不正出血など)や体重減少など、痛み以外の症状から始まる。痛みで見つかる場合は、残念ながら進行しているケースが多いという。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2018年9月21日号

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