約3割の患者が聴力を上げた治療法も(※写真はイメージ)
約3割の患者が聴力を上げた治療法も(※写真はイメージ)
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『新「名医」の最新治療2014』から
『新「名医」の最新治療2014』から

 ジャニーズ事務所が12日に発表した、滝沢秀明さんの引退と今井翼さんの退所に衝撃が広がっている。2人のユニット「タッキー&翼」は10日付けで解散し、メニエール病を患っていた今井さんは療養に専念するという。あまり聞き慣れないメニエール病だが、難聴、めまい、耳鳴りが主症状。内耳にリンパ液がたまって圧が高まることで起こり、睡眠不足、過労、ストレスなどが原因といわれている。詳しく解説する。

【その症状はメニエール病? それとも突発性難聴? めまいと代表的な病気のチェックリストはこちら】

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 全人口の10~15%は感じているという耳鳴り。日常生活に支障をきたすほどの症状がある人は、そのうちの数%だ。患者数は多いにもかかわらず、根治的な治療法は確立されていない。しかし近年、発症の仕組みが解明され、新しい治療が登場している。

■内耳の血液循環を水分摂取で改善する

 福井県に住む公務員の太田加代子さん(仮名・47歳)は約20年前、めまいと右耳の聴力低下があり、メニエール病と診断された。約2年半に一度の頻度で症状が繰り返されたが、薬を飲んで改善し、その後は起きたとしてもすぐにおさまる弱いめまいだった。

 しかし、2012年4月に突然耳のつまったような感じと聴力低下をおぼえ、近所の耳鼻咽喉科を訪れた。ステロイド剤の飲み薬を処方されたが、まったく改善しなかった。2カ月後からは30分以上の回転性のめまいをたびたび感じるようになり、日常生活に大きな支障が出たため、北里大学東病院神経耳科講師の長沼英明医師のもとへ足を運んだ。長沼医師はこう語る。

「メニエール病の診断基準は、20分以上の回転性のめまいがいままでに2回以上起きていることと、聴力障害があり低音が聞こえにくいことです。聴力検査を実施したところ、正常値が20以内なのに対し、太田さんは右耳が50でした。メニエール病の診断には、薬物を使って内耳機能を一時的によくして通常時との差を調べる検査もあります。しかし、機能が再び下がって悪くなりやすく、からだに負担がかかるため、わたしはこだわっていません」

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メニエール病は「内耳の障害」