鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
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日大アメフト部の内田前監督が選手に指示した悪質タックル事件の会見 (c)朝日新聞社
日大アメフト部の内田前監督が選手に指示した悪質タックル事件の会見 (c)朝日新聞社

 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「パワハラ」について。

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 先日、ある舞台をやったときに、物語の中で時事ネタいじりをした。日大にまつわること。会場ではウケていたのだが、ネットの感想ではたたかれた。会場は女性客が99%。その部分に否定的な感想を見ていて、こちら側はおもしろいと思ってイジっていることを、「かわいそう」と感じてしまう。

 そして、舞台には一人の女性芸人が出ていた。俗に「ブスキャラ」と言われることの多い彼女。本人もそれを仕事としてイジられに出るわけだが、まあ、その容姿イジリがウケにくかった。夢を求めて舞台を見に来ている女性客にとっては、好みではなかったのだろう。舞台が終わってしばらくたつが、いろいろ感想を読んでいると、今回のお客様に限ったことではなく、20代の人たちにとって、僕ら世代が「おもしろい」と思って育ってきたことは「かわいそう」と感じることが多いのかもと思った。

 確かに、この10年、時事ネタを扱うワイドショーはあるが、時事ネタを笑いにするお笑い番組は減ってきたし、気づくと女性芸人の容姿をわかりやすくイジって笑いにする場所も少ない。そういうものを笑う環境が減ってきた中で育った人たちとの間にはズレも出る。その「ズレ」をどうしていくかが大事で、無視するのは簡単だが、そういう感覚を持った人が増えてしまった以上、意識するしかない。

 パワハラ。連日、ニュースを賑わせている。今後も至る所からパワハラ問題が噴出するだろう。ワイドショーからしたらお祭り状態。

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