老化を早め、がんや認知症、動脈硬化や高血圧など、さまざまな病気の原因にもなる「活性酸素」。その対策として注目されているのがファイトケミカルだ。「第7の栄養素」とも言われるが、どのように摂取したらいいのか。
体内では作り出すことができないので、食事で摂取する必要がある。例えばポリフェノールは苦いが、お茶やコーヒー、ワインやチョコレートなどの嗜好(しこう)品を通じてだと取りやすい。
嗜好品をいつも食べるのは難しいので、野菜から、より効率的に取れる食事法を紹介しよう。
米国立がん研究所は、食生活指針において、野菜と果物をたくさん食べる必要性を指摘してきた。米国では野菜や果物の摂取量が1980年代から、増加傾向になった。
一方日本では、野菜を食べる量が不足している。厚生労働省は1日に食べる野菜の量を350グラム以上としているが、多くの人が下回っている。2016年の「国民健康・栄養調査」によると、野菜摂取量の平均値は276.5グラムで、この10年間で減少している。
野菜が大切だとわかっていても、外食やコンビニが定着している今の生活環境では簡単ではない。これでは体がサビる一方になってしまう。
そこで注目されているのが、野菜をスープにすることでファイトケミカルを効率的に取る方法だ。
長年抗がん剤の研究をし、ノーベル賞候補ともいわれる熊本大学名誉教授の前田浩氏の『最強の野菜スープ』(マキノ出版)によると、野菜をゆでてスープにすれば「10~100倍」も抗酸化力が高まるという。
「野菜の抗酸化力の強さ(抗脂質ラジカル活性の比較)」では、生の野菜をすりつぶした冷水抽出物と、5分間煮沸したゆで汁を比較している。
ゆでたほうが圧倒的に抗酸化力が増したのだ。『最強の野菜スープ』では次のように解説している。
<生の野菜をそのまま食べても、ファイトケミカルはわずかしか吸収することができません。ファイトケミカルの多くは、野菜の細胞の中にあります。細胞は、セルロースという食物繊維の一種でできた頑丈な細胞壁に包まれています>
野菜の細胞壁は刻んだり、咀嚼(そしゃく)したりしても、ほとんど壊れない。体内で消化酵素によって吸収しやすくしようとしても、なかなかうまくいかない。
だが、加熱するといとも簡単に壊れて、細胞内の有効成分が溶け出す。だからスープにするのが効果的なのだ。