
がんと告知された患者は、ただでさえ冷静に説明を聞くことが難しい心理状況なのに、かぎられた診察時間で、医師と適切にコミュニケーションをとることはさらに難しいことといえるでしょう。好評発売中の週刊朝日ムック「がんで困ったときに開く本2019」では、Q&A形式で「医師との関係で困った」に関する悩み・疑問に専門家が回答しています。ここでは、「医師を指名できる?」「診療科によって医師の言うことが違う」について、日本医療コーディネーター協会代表理事・嵯峨崎泰子さん、聖路加国際病院相談支援センター医療連携室・がん相談支援室アシスタントナースマネジャー橋本久美子看護師に回答してもらった内容を紹介します。
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Q:医師を指名できる?
A:指名できますが指名の理由をよく考えましょう
がんを疑われて、くわしい検査を受けるようにかかりつけ医から言われたときに、治療を受けたい医師がいる場合は、その医師への紹介状を書いてもらって、希望の医師を受診します。
もう少し後の段階、つまり担当医が決まってから別の医師の治療を受けたい場合や、治療が始まってからでも、希望を申し出て、転院することは可能です。
■その医師は自分にとっていい医師か検討する
基本的には希望の医師のもとで治療を受けることはできます。
しかし名医・評判のいい医師=自分にとっていい医師、とは限りません。有名だから、家族や友人にすすめられたなどの理由だと、「こんなはずじゃなかった」という事態に陥ることも。
他の医師を指名したい理由をよく考えてみましょう。担当医と話し合うことで他の医師を指名する必要がなくなることもあります。
希望の医師に変更になった場合は、もとの担当医にそれまでの治療への感謝を示し、きちんとあいさつすることを忘れずに。