

ようやく自民党総裁選(9月)への出馬を表明をした石破茂元幹事長。8月10日に開かれた会見場へ行くと、入り口でカラー写真入りのポスターのようなものを渡された。石破氏の姿の上に「正直、公正」とでっかい文字。
会見場にはざっと200人くらいの報道陣があふれ返り、熱気に溢れた。
机の前には石破氏1人が座り、1時間20分を超えるロング会見となった。ポスターの意味に関する質問が出ると、
「正直、公正でありたいと心がけてきた。私自身、ご批判をいただく声に内心じくじたるものが常にある」
安倍晋三首相の森友・加計疑惑で、政治に対する信頼が失われたことについてはこう述べた。
「スキャンダルで予算の審議がいろんな不祥事の追求にさかれなければならず、それで予算が成立していくのが正しいとは思わない。予算の審議とスキャンダルは切り離していく必要がある」
首相夫人の安倍昭恵氏について、「テレビなどで『首相夫人の位置づけがあやふやだ』と言われている」と直球の質問が出ると、かたずを飲んでその答えを見守った。
石破氏は静かにこう口火を切った。
「『公人なのか私人なのかどっちだかよく分からないね』ということはあってはなりません。プライバシーに対する過度な侵害はあってはならず、総理のご夫人であれ誰でも一緒だと思います」
とプライバシーの尊厳を守りつつ、
「国民の税金を使っていろいろな対応をしているのだから、純然たる私人とはいえない。公の色彩を帯びることが大きいと考えています」
と、指摘した。
話は先輩議員から教わったことにも及んだ。
「保守とはおのれに厳しく、身内に厳しく、ほかの方々に寛容であるということ。そういう保守でありたいと願っている」
前日、党内第3派閥の竹下派(55人)が事実上の自主投票とする方針を決めた。竹下派参議院議員(21人)は石破支持でまとまる。このことについては、
「石破包囲網。石破を支持したら冷や飯、冷遇と報道される中、決然と参議院の平成研が石破支持を表明してくれたのは、厳しい時こそ何よりもありがたい。竹下恒会長とは30年以上のつきあいがある」
と、この時ばかりは、感謝の言葉がほとばしり出た。