竹内勤医師(左)、針谷正祥医師
竹内勤医師(左)、針谷正祥医師
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関節リウマチデータ (週刊朝日 2018年8月17ー24日号より)
関節リウマチデータ (週刊朝日 2018年8月17ー24日号より)

 関節リウマチに対しては、生物学的製剤と呼ばれるタイプの治療薬が続々と承認されている。近年、さらに別のタイプも加わった。治療効果はもちろん、患者のライフスタイルに合わせた選択も可能になってきた。

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 関節リウマチは、自分のからだを守ってくれるはずの免疫が「暴走」し、自分自身を攻撃してしまうことで発症する。その標的は手や足の関節であり、未治療や治療が不十分な状態が続くと関節が変形し、破壊されてしまう恐れがある。

 その治療は、病状を評価し、治療の目標を立て、そのために必要な薬剤を選択するといった、治療計画に基づいて進められる。

 具体的には、まず、治療開始時点での関節の腫れや痛みの状態を評価する。その代表的な方法は「SDAI(エスダイ)」と呼ばれる次のような評価法である。

(1)医師が観察して腫れている関節の数、(2)医師が押して痛い関節の数、(3)血液検査による(炎症の程度がわかる)CRPの値、(4)VAS(バス)というスケールを使って患者自身が決めた病状の程度、(5)VASを使った医師による病状の程度、の五つの指標を合計して数値化する。そのうえで薬物治療などを始める。以後、治療が効いているかどうかなどはSDAIで評価することが多い。

 最初は3カ月後に、それまでの治療が効いているかどうかを評価し、効いていればそのまま治療を続け、治療開始から6カ月後には「寛解」達成が目標となる。寛解とは、発症前と変わらないほどに症状が抑えられた状態である。慶応義塾大学病院リウマチ・膠原病内科教授の竹内勤医師は言う。

「寛解を達成できれば、それをできるだけ長く維持していくことが目標となります。薬が十分に効いていない場合や、目標が達成できなかった場合は、また6カ月ごとに評価し使用する薬剤を見直すことを繰り返すことになります」

 関節リウマチ治療の基本となるのは、メトトレキサート(MTX)という内服薬である。新たに発症した場合なら、MTXだけで半年ほどで、5~6割が寛解か寛解に近い状態を達成できるといわれている。

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