作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は、「性の話」について。
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先日、一人の女性が会社にやってきた。広東省からやってきたという40代で、「流行っているトーイを見たい」と言う。オーストラリアのフェミニストから紹介されたという。
それは光栄!と説明を始めると、彼女はトーイを写真に撮ってはケータイで誰かに送り、何かを相談し始めた。さらに「オーラルセックスっぽい感覚のバイブは?」など、ケータイの向こうからの質問を次々投げてくる。誰と話しているの?と聞くと、驚いたことに「27人の女友達」と言うのだった。なにそれ!と思わず声をあげると、「こういう話をする専用のグループを作ったら、増えてきちゃって」と笑うのだった。今度は私が質問する番だった。彼女は女性学専門の大学教授。仲間の職業は様々で、多くは既婚者の40代という。友人数人とセックスファンタジーの話をしているうちに、友達の友達の友達の……と、輪が広がったのだという。
上海の街角にあるセックストーイショップは洗練され、コンビニにエロ本はないけどレジ横にコンドームが置かれる中国で、性は日本よりもオープンに見える面もある。でも詳しいことはわからない。ねぇ、あなたたちはどんなファンタジーを話しているの? なぜそれを始めたの? どんな性文化を生きているの? こんなにも近い国なのに、私は中国の女性たちと出会えてないのだと思う。語らなくちゃいけないことも山ほどある。私たちは連絡先を交換して、私は彼女とその仲間に「バイブ・フェミ割」も約束した。