それから数日後、今度は日本人の女性のカップルがやってきた。女性だけで性の話をするイベントをするので商品を提供してほしいという。それが驚くほど、中国人の彼女のストーリーに似ているのだった。そもそも友人たちとセックスの話をしたら、それぞれがあまりにも違うことに衝撃を受け、友が友を呼び……今や200人規模の会になったというのだ。なにそれ! 思わずまた大きな声をあげてしまう。すると彼女は「うんざりだって思っている女性が多いからじゃないか」と言うのだった。

 性は本来、美しくてキラキラと夢のようなものであってほしい、なのにこの国にいると汚くて暴力的で猥雑なエロ情報の多さに、女性の性が貶められている気持ちになる。だからといって性に目をつむるのではなく、暴力にのまれないためにも、自分たちの性の文化をつくりたい、レズビアンだから、女だから、私たちだから、と。

 猛暑の東京で、バイブを買いに来てくれた女性たち。残酷な性への怒りや痛みに絶望しながら、私たちはしゃべらずにはいられないのだと思った。それは、私たちの希望、夢、欲望はどこにある? そんなことをおしゃべりしながら描きたいから。私は久しぶりに自分の仕事の意味を、女性たちに教えられた気がした。そう。私たちはもっともっと話すべきなのだ。

週刊朝日  2018年8月3日号

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