薬局では調剤基本料のほかに、患者の服薬歴を管理する「薬剤服用歴管理指導料」という料金がある。副作用やアレルギーをチェックしたり、薬の量が多すぎる場合は病院に問い合わせたりすること(疑義照会)も薬剤師の仕事だ。同じ指導料を払うならば、料金分の機能を使い倒すほうがお得だろう。

「医療費の節約は安くするということより、賢く支払うことです。いかに100円を使い倒すかという考え方がよいでしょう」(木村さん)

●おくすり手帳で円お得
 ちなみに、おくすり手帳はこの薬剤服用歴管理指導料の一環。以前は持参したほうが高かったが、2016年に逆転。持参しないと料金は159円だが、持参すると123円と安くなる。

 さらにこの指導料について知っておきたいのが、2年前に始まった「かかりつけ薬剤師」だ。この制度は毎回同じ薬剤師が服薬管理を担当するというもの。「かかりつけ薬剤師指導料」(219円)という料金がかかるため、通常の指導料より高い。

 しかし、「服薬管理や指導はきちんとしたかかりつけ薬局ならば十分に機能が果たされていることが多い」と認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」理事長の山口育子さんは指摘する。

「薬局単位ではなく薬剤師がかかりつけになると、担当薬剤師が勤務している日時に薬局に行かなければならないなど、不便な面もあります」

 かかりつけ薬剤師がつくには患者の同意書が必要だ。同意書を求められてもすぐにサインをせず、必要性をよく吟味してほしい。

■無駄な検査と治療を受けない
「念のために病院に行っておこう」と思う患者。「念のために治療をしよう」という医師。そんな念のため医療で、無駄な医療費を使っていないだろうか。

 例えば、細菌を殺す抗生物質は、誰もが一度は飲んだことのある身近な薬だ。日本では風邪で病院にかかると、約6割の患者に抗生物質が処方されている。

 だが、「風邪に抗生物質は不要」という考えは、すでに国際的な常識だ。そもそも、ほとんどの風邪は細菌ではなくウイルス感染が原因のため、抗生物質は効かない。抗生物質を飲むのは、風邪が原因で肺炎になるのを防ぐという考えからだが、その効果もほとんどないことがわかっている。

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