作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は、「日本の性差別」について。
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英BBCが「日本の隠された恥」というタイトルで、性暴力被害を実名で告発した伊藤詩織さんのドキュメンタリーを放映した。日本社会がいかに女性を差別し、いかに女性に沈黙を強いているか。詩織さんの事件に焦点を置くことで、この国の「恥」が次々と暴かれていく内容だった。
冒頭、二次元エロに溢れている街が映し出された。コンビニのポルノをはじめ、ありとあらゆる性的サービスの情報が簡単に手に入る私たちの日常の景色は、「外国」のカメラを通せば相当に「異常」なことが伝わってくる。女がモノ化され、幼い頃から痴漢被害にあう性差別社会。この国に生きる女が、性暴力と無関係であり続けることは、ほぼ不可能であることを、「外国」の目、そして詩織さんの言葉は、私たちに伝える。
自民党の杉田水脈議員がインタビューに応じ、「差別やセクハラの体験ありますか?」との質問に、「社会に生きてれば、山ほどありますよ」「それはそういうものかな~と思って」「きっちり断るのも(社会で生きる女の)スキルのうち」と声をあげ笑っていた。自民党の議員自ら、この社会に性差別が山ほどあると認めた上で「そういうものかな~」と微笑む無能さは、かなりインパクトのある映像だった。
また杉田氏は「(詩織さんには)女性としての落ち度がある」と明言した。この発言にはじわじわと批判が集まりつつあるが、「(セクハラ告発された)福田に人権はないのか!」と叫んだ麻生氏と全く同じ思考だ。それでも同じことを女が言うと、何故だろう、直視できないほど哀れに見える。杉田氏が座っているのは、性差別に無痛になり、男社会に過剰に媚びることで得られた地位だ。そのような席で輝く女を男社会が求める限り、杉田的女の生き方は過去にはならないだろう。