![カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/a/2/620mw/img_a28d30617440a47ac7d64429ecd2a28c21085.jpg)
![イラスト・カトリーヌあやこ](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/7/2/620mw/img_72efe2faf02ae1d1af8eeafe3d5df99668922.jpg)
漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「バカボンのパパよりバカなパパ」(NHK総合 土曜20:15~)をウォッチした。
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「天才バカボン」や「おそ松くん」を生み出した天才ギャグ漫画家・赤塚不二夫の破天荒な生きざまと家族を描いたこのドラマ。演じるのは玉山鉄二だ。もうね、イケメン。ギャグ漫画家なのに、顔面の作画が少女漫画なタマテツなのだ。
ちなみに朝ドラ「半分、青い。」に出てくる少女漫画家・秋風羽織先生(豊川悦司)の顔面は、劇画調だ。ドラマ全体のタッチは淡い少女漫画風なのに、ひとりベタ(黒い部分)が濃い秋風先生。なんなの、漫画家役だけは、独自な作画で仕上げたいの? NHK。
とにかくバカボンパパのハチマキ巻いてもキラキラしてるタマテツ。鼻の下にアホなヒゲ描いてもキラキラ。「賛成の反対なーのだー」って叫んでもキラキラ。
夜な夜な編集者やアシスタントと酒場にくり出して、赤いリボンにセーラー服で「お祭りマンボ」を熱唱する。どうです? このハチャメチャなギャグ漫画人生……て場面なんだろうけど、「やだ、意外と似合う」って感想しか出てこないのは、どうしたらいいの。
ある日、担当編集者が連載原稿を紛失する。落ち込む彼を飲みに誘う赤塚先生。「こういう時こそ、バカになれ~」と。そして、編集者が飲みつぶれている間に全ページを描き直し、翌朝一言。「2度目だから、上手く描けたよ」。ニッコリ。
まーじーイーケーメーン。赤塚先生という人間の優しさ、ふところの大きさを感じさせる「いい話」も、イケメンが演じるとシンプルに「イケメンなんだから!」で済んじゃうという。誠にイケメンという視覚情報は、見る者の脳をツルツルにするのである。
さて、赤塚先生といえばタモリ。先生の葬儀で「私もあなたの数多くの作品の一つです」と、白紙の弔辞を読み上げたあのタモリ。はたしてこのドラマに出てくるんだろうか? すでに、先生の家に居候してるはずだけど。まさかタモリまで作画が少女漫画だったらどうしようと、ドキドキが止まらない。
私の大好きな二人のエピソード。真冬の雪の軽井沢で、全裸でギャグ合戦をした話だ。闇の中、揺らめく光。極太のロウソクを尻に突っ込んで、林の中から全裸で後ろ向きに這ってくる赤塚先生。後にタモリが、「もうこの世のものとは思えない」と言った光景を、ぜひタマテツで再現してもらいたい。頼むNHK。
※週刊朝日 2018年7月20日号
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