演芸番組「笑点」の第一回からのメンバーで、終身名誉司会者でもあった落語家の桂歌丸さんが2日、死去した。81歳だった。番組の人気コーナー「大喜利」では6代目三遊亭圓楽(楽太郎)さんらとの“愛情の裏返し”ともとれる罵り合いが視聴者に親しまれ、人気を博した。2006年には5代目三遊亭圓楽さんの司会降板により、「笑点」5代目司会者に就任。その後も、度重なる病気を患ってきたが、それらを「笑い」にかえながら病を押して活動し続けた。
これまでも、誤嚥性肺炎や背部褥瘡(じょくそう)などで体調を崩してきた歌丸さんだが、死因は慢性閉塞性肺疾患。
2020年には世界の死亡原因の3位になると予測されている慢性閉塞性肺疾患(COPD)。日本の潜在患者数は約620万人とされているが、治療を受けているのはその中のごく一部だ。いったいどんな病気なのか。
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COPDはたばこの煙などの有害物質によって、肺が炎症を起こす病気だ。20年以上喫煙していると発症しやすいため、早い人では40代で発症する場合もあり、3大症状である「咳、痰、息切れ」を自覚し始める。進行すると息苦しさから動けなくなり、寝たきりになることもある。
治療の基本は「禁煙」「薬物療法」「運動療法」「栄養療法」「増悪予防(後述)」だ。最も効果的な治療が禁煙で、受動喫煙の防止のみならず生活環境全般の空気をきれいにすることが大切だ。それで咳や痰はかなり改善する。適度な運動をし、適切な栄養をとることも重要だ。しかし、息切れはそれだけでは改善しにくい。
東京女子医科大学病院呼吸器内科教授の玉置淳医師はこう話す。
「薬物治療によって肺をもとの状態に戻すことはできませんが、息切れなどの症状を軽減し、進行を予防することで生活の質を保てます。最終的に、COPDによる死亡を防げるのです」
薬物治療の中心は、気管支拡張薬だ。狭まった気道を広げることで呼吸が楽になり、息切れが軽減する。気管支拡張薬にはいくつかの種類があり、重症度によって選択されるが、その基準を大きく変えたのが2013年に承認された「長時間作用性抗コリン薬(LAMA)」と「長時間作用性β2刺激薬(LABA)」の配合薬だ。