「保険料」の額が、地域によって異なることを知ってますか?(※写真はイメージ)
「保険料」の額が、地域によって異なることを知ってますか?(※写真はイメージ)
保険料・医療費の地域格差(週刊朝日 2018年6月29日号より)
保険料・医療費の地域格差(週刊朝日 2018年6月29日号より)
1人当たり年齢調整後医療費/地域差指数に対する診療種別寄与度(市町村国民健康保険の地域差)厚労省資料から(週刊朝日 2018年6月29日号より)
1人当たり年齢調整後医療費/地域差指数に対する診療種別寄与度(市町村国民健康保険の地域差)厚労省資料から(週刊朝日 2018年6月29日号より)
改革後の国保財政の仕組み(イメージ)(週刊朝日 2018年6月29日号より)
改革後の国保財政の仕組み(イメージ)(週刊朝日 2018年6月29日号より)

 毎月納めている「保険料」の額が、地域によって大きく異なることをご存じだろうか。例えば、国民健康保険では最大で1.5倍、そのからくりと、50年ぶりの大改革となる国民健康保険制度のポイントを解説しよう。

【図表で見る】保険料・医療費の地域格差はこちら

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 まずは、74歳までの約3千万人が加入している国民健康保険。自治体が運営していることから、昔から保険料は地域格差が大きいことが知られている。

 2017年8月に厚生労働省が報告した15年度の「市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」。「標準化保険料算定額」とは、15年度の保険料のデータをもとに、都道府県の平均所得者の保険料を示したものだ。

 もっとも保険料が高い都道府県は徳島県の14万4183円で、平均の約1.3倍だった。2位が宮崎県の13万8250円、3位が大分県の13万6381円と続き、10位以内に佐賀県、本県、愛媛県が入るなど、九州・四国の保険料の高さが目立つ。

 一方、もっとも保険料が低いのは東京都で9万5054円。2位が神奈川県の9万8323円、3位が埼玉県の9万9727円と、関東に集中している。ちなみに徳島県と東京都の差は約1.5倍で、金額にすると4万9129円になる。

 基本的に保険料は市町村が決めるため、自治体でも格差がある。参考までに紹介すると、もっとも保険料が高い自治体は北海道天塩(てしお)町の18万7569円。低い自治体は東京都三宅村の5万922円。その差は約3.7倍だ。都道府県内の差がもっとも大きいのが沖縄県で2.9倍、小さいのが茨城県で1.2倍だった。

 一般的に、所得が高いほど保険料を多く払う。だが、こうして平均所得者で比較してもなお、地域格差が出るのはなぜか。経済ジャーナリストの荻原博子さんは、「保険料を徴収する市町村によって算定方式が違う」ことを挙げる。

「国民健康保険料の場合は、所得に応じた『所得割』、固定資産に応じた『資産割』、1人当たりの定額『均等割』、1世帯当たりの定額『平等割』という四つの算定方式で保険料が決まります。各自治体が地域性などを鑑みて、4方式を取り入れたり、3方式を取り入れたりしているため、保険料が自治体によって違うのです」

 加えて、算定方式の違いだけでは説明できない差として、荻原さんは二つの要素を挙げる。一つが「高齢化率」、もう一つが「自治体の財政状況」だ。

 例えば高齢化率は、当然ながら、医療機関を利用する頻度が高い高齢者の数が多ければ、それだけ医療費がかかるため、保険料が上がる。参考までに先に挙げた6都県で高齢化率を比較してみると、徳島県31.0%、宮崎県29.5%、大分県30.4%と、いずれも高齢化率が高め。対して、東京都、神奈川県、埼玉県はそれぞれ22.7%、23.9%、24.8%と低めだ。

 もう一つの要素である自治体の財政状況はどうか。

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