過去の自主的な降板劇で印象的だったのは、映画『藏』(浅野ゆう子さんとのW主演)を撮影前に降板した宮沢りえさん、NHK連続テレビ小説『春よ、来い』を途中降板した安田成美さん、舞台『ドラキュラ』を突如降板し愛の逃避行をした高橋恵子(旧名・関根恵子)さんなどが鉄板系ですが、中でも忘れられないのが、94年『渡る世間は鬼ばかり』を突然降板した沢田雅美さん(以下チャミ)です。当時人気絶頂だった『渡鬼』シリーズは私にとって、一般男子が少年ジャンプや少年マガジンを読むのと同じ、いやそれ以上の意味がありました。チャミと東てる美さん演じる小姑姉妹が、嫁役の泉ピン子さんをイビり倒す様を毎週録画し、台詞を覚えて真似をするのが生き甲斐だったあの頃。チャミと東さんが結成したユニット『アクマシスターズ』のCDももちろん買いました。

 すっかりチャミの話が長くなりましたが、『満島ひかり降板』を伝えるネットニュースに大変興味深いコメントを見つけたので記しておきます。「演技も上手いと感じたことないし顔も田舎ぽいし うそ情報ならはよ会見しないと悪口いわれるよ」。何でしょう、この流れ作業のようにスキャンダルに飛びつき、捌いている感じ。彼らは往々にして常識と平凡を重んじ、他人の運や羽振りの良さを忌み嫌い、何事にも透明性を求める傾向があるのですが、この人は自分で認めてしまっています。それが『悪口』という名のイチャモンだと。会見を望むならチャミの降板会見を観て! 今みたいに貧乏臭くないから!

週刊朝日 2018年6月22日号

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