のんは5月8日に初のワンマンライブを成功させ、9日にファーストアルバムを出した
のんは5月8日に初のワンマンライブを成功させ、9日にファーストアルバムを出した
多彩なミュージシャンが制作に参加した、のんのファーストアルバム『スーパーヒーローズ』
多彩なミュージシャンが制作に参加した、のんのファーストアルバム『スーパーヒーローズ』
音楽活動開始から『スーパーヒーローズ』完成までのドキュメント映像を収録したDVD付きのアルバムも同時発売
音楽活動開始から『スーパーヒーローズ』完成までのドキュメント映像を収録したDVD付きのアルバムも同時発売

 高橋幸宏、矢野顕子、大友良英、真島昌利、尾崎亜美……。5月9日に発売された、のんのファースト・アルバム『スーパーヒーローズ』には、「これでもか!」と言わんばかりの“贅沢な布陣”が制作に参加。会心のロックンロール作品に仕上がっている。

【ファーストアルバム『スーパーヒーローズ』のジャケットはこちら】

 のん自身がこう語る。

「音楽界のスーパーヒーローのような方たちに曲を作っていただいたので『スーパーヒーローズ』というアルバムタイトルにしました。うわっと心が沸き立つ、めちゃくちゃかっこいい曲たちが詰まっています。のんが作った曲も入っています。いい感じです」

 イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のメンバーだった高橋は「My Day」の作曲・編曲を担当。一風堂の元リーダー、土屋昌巳とムーンライダーズの鈴木慶一がギターを弾いている。

 のんが幼いころから憧れる矢野は「わたしはベイベー」を作詞・作曲。「清志郎なら歌ってくれるはず」「清志郎なら励ましてくれるはず」と、やはりのんが敬愛する故・忌野清志郎の名を詞に取り込んだ。曲の末尾で「ごきげんだぜ、ベイベー!」という清志郎本人の肉声まで飛び出す。

 作曲家として活躍中の大友は、セカンド・シングルにもなった「RUN!!!」とアルバムの最後を飾るバラード「おやすみ」の編曲を手がけている。

 元ザ・ブルーハーツ、ザ・クロマニヨンズのギタリストである真島は「さぁいこう」を提供。真島らしいリズムのロックンロール・ナンバーだ。のんが自作した「へーんなのっ」「正直者はゆく」「あることないこと」はいずれも1970年代のパンクを思わせる曲調で、真島の曲とともにアルバムの骨格となっている。作品全体をのんの“勢い”が貫き、尾崎が作ったスローな「スケッチブック」は異色の存在として、中盤のアクセントになっている。

 アルバム全12曲のうち7曲で編曲を手がけたのは飯尾芳史。敏腕のレコーディング・エンジニアだ。80年代に渡英し、デヴィッド・ボウイ、T・レックス、シン・リジィ、モリッシーなどを手がけた名プロデューサー、トニー・ヴィスコンティのスタジオで学んだ経験を持つ。

 こうした“スーパーヒーローズ”が結集し、がっちりとサウンドを固めたうえで、のんが“強い言葉”で自由に叫ぶ。

「くらべてもしょうがない 昨日とか 明日とか さぁいこう」「知らんぷりして前に進め 何もかもを煙に巻き」「さよならなんて必要あるか」「かっこつけてる暇も無くて いい子にする気もなくて」「もう気にしないで言ってやる どこもかしこもへーんなのっ へーんなのって言ってやれ!」
 のんは年初の週刊朝日で「向こう見ずな性格で怖い物知らず。今年ののんは、かなり面白いと思います」と語り、野心を「チラ見せ」していた。彼女のまっすぐすぎる“ストレート街道”が本格的に幕を開けた。(本誌 佐藤修史)

※週刊朝日オンライン限定