「週一度の『身体に優しい食事会』だけでは、1週間の健康を保つ栄養補給にはなりません。ただ、みんなと一緒に食べれば、孤食やフレイル防止につながる。そう思って、食事会を始めました」(川口教授)

 栄養バランスのとれたメニューを考え、食事会では約40人分の料理をボランティアと一緒に用意する。のみ込みやすくしたり、食欲を誘う工夫をしたり。孤食で忘れてしまった食べる楽しさを思い出し、3度の食事習慣を取り戻してもらうねらいだ。

 フレイルとは、健康と言えないが、要介護にまでは至らない中間の状態。日本老年医学会が14年に提唱した概念だ。フレイルを防ぐには、「しっかりと噛んで食べる」「社会とのつながりを保つ」「運動をする」の3点が大切になる。

東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』(KADOKAWA)などの著書があり、フレイルを防ぐ対策を呼びかけてきた、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授(老年医学)は、フレイルを防ぐために11項目のチェックを高齢者に勧めている=下の一覧。

【あなたの元気度がわかる11のチェックリスト】※飯島勝矢教授の資料から作成
1.同年代の同性と比べ、健康に配慮した食事を心がけている
2.毎日2回以上、野菜料理と主菜(肉か魚)を両方とも食べている
3.さきいか、たくあんぐらいの硬さの食品を、普通に噛み切れる
4.お茶や汁物でむせることがある
5.汗をかく運動(1回30分以上)を最低週2日、1年以上続けている
6.歩くこと、または同等の身体活動を1日1時間以上している
7.同年代の同性と比べ、歩く速度が速いと思う
8.昨年より外出回数が減った
9.1日1回以上、だれかと一緒に食事をしている
10.自分が活気にあふれていると思う
11.何よりもまず、物忘れが気になる
*「はい」か「いいえ」で回答し、「いいえ」(※4、8、11は「はい」)が3~4個だと、フレイル前段階のプレフレイル。5個以上だと、フレイルのリスクが高い。

(村田くみ)

週刊朝日 2018年5月4-11日合併号より抜粋

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