よい姿勢を保ちながら運動する「いきいきチェア姿勢エクササイズ」
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あなたの元気度がわかる11のチェックリスト(あてはまるほうに○を)(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)
あなたの元気度がわかる11のチェックリスト(あてはまるほうに○を)(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)
フレイルとは、健康と要介護の中間の時期(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)
フレイルとは、健康と要介護の中間の時期(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)

 最近、食欲がなくて外出もおっくうで、気が晴れない。高齢者のそんな状態は「フレイル(虚弱)」と呼ばれ、要介護が間近の危険信号になる。11のチェック項目で、自分や家族の健康状態をチェックしよう。

【図】あなたの元気度がわかる11のチェックリスト

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 焼きサバのちらし寿司、雪下大根と油揚げの煮物、小松菜のおひたし……。採れたての野菜と旬の魚をふんだんに使った料理がテーブルに並ぶ。東京都新宿区の「暮らしの保健室」での、ある日のメニューだ。

 保健室は都営戸山ハイツアパート1階にあり、団地の住人らが気軽に入れる。介護や医療の専門家とボランティアが、相談に応じてくれる場だ。ここで、毎週木曜昼に「身体に優しい食事会」が開かれている。

 1食500円。2013年7月に始まり、だれでも参加できる。団地内だけでなく、電車やバスで来る人もいるほど人気がある。

「手作りのごはんは、元気が出ますね。週に一度ここに来て、昼ごはんを食べるのが楽しみなんです」

 団地内で独り暮らしの女性(83)は、そう話す。自分では食事を一切作らないという。普段のメニューを聞くと、朝ごはんはバナナ1本と牛乳1杯。昼はコンビニのおにぎり、夜は外食か弁当で済ます。野菜ジュースを飲むことで、食物繊維を補う。食べることがだんだんおっくうになっているようで、食事会は貴重な場だ。

「体の調子はどうですか?」。食事会に来た女性にスタッフが話しかけると、「今年の冬は寒い日が続いたけれど、風邪を引かなかったわね」と元気な声が返ってきた。

 戸山ハイツは約3600世帯約5900人が暮らし、ほぼ半数が65歳以上だ。高齢化とともに、独居の人がひとりだけで食事をする「孤食」が進む。

「夫婦のどちらかが亡くなると、初めはがんばって食事を作っていても、次第に面倒になって外食やコンビニ頼みになります。そのうち、『食欲がないし、今日は昼抜きで』『コンビニ弁当は硬くて食べにくい』『外食でお金を使いたくない』と、食べること自体がおろそかになる。ついには、1日1食となる人も少なくないのです」

 こう語るのは、大妻女子大学家政学部の川口美喜子教授。『老後と介護を劇的に変える食事術』(晶文社)などの著書がある。高齢者の孤食や偏食は栄養不足を生み、「フレイル(虚弱)」につながる、と警鐘を鳴らす。

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