俳優仲間と、よく酒を飲む。
「同世代の俳優とは、『映画は好きだし、主軸にしてやっていきたいけど、映画だけでは食べていけない。もう少し、日本のマイナーな映画市場も拡大してくれるといいのに』とか、そんな話ばっかりしています。僕自身、根がカウンターカルチャー好きなもので。もちろん娯楽大作だって、オファーをいただいたら喜んで出演しますけど、俳優としての目立ち方は、大作映画に出てホームランを打つよりも、バントで出たつもりが二塁まで行ってしまうとか、そういうほうが理想なんです」
父である舞踏家の麿赤兒(まろあかじ)さんの舞台があると、今も必ず観に行っている。兄で映画監督の大森立嗣さんも含め、「カウンターカルチャー好きは、大森家の血ですね」と言って笑った。
「でも、家族の中では、おそらく僕が一番俳優業に対してノープランで、結果として、一番メジャー志向になっていると思うんです。映画もドラマも舞台も、興味が持てるものなら何でも出演しますから。なのに、出演作を並べてみると、世間から見てまだまだマイナーな感じは拭えない。そういう、世間の基準と大森家の基準の温度差が面白いです(笑)」
俳優としての“欲”は希薄そうに見えるが、現在Netflixで配信されているハリウッド映画「アウトサイダー」の役は、オーディションで掴んだ。第2次世界大戦後の大阪を舞台にした作品で、大森南朋さんは北野武監督「アウトレイジ 最終章」と同じく、ヤクザの役である。