「現場で俳優がやるべきことは、監督が求めているものに応えることでしかない。その点は日本でも海外でも変わらないなと思いました」

 5月には、2年ぶりに舞台に出演する。「市ケ尾の坂─伝説の虹の三兄弟」作・演出の岩松了さんとは、定期的に酒を飲む仲だ。

「今回の舞台は、酒場で一緒に飲んでいるときに、『どう?』って聞かれまして、勢いで『いいですよ』と応えて、出演が決まったんです(笑)。岩松さんとは、3年ぶりとか5年ぶりとか、オリンピックぐらいの周期で舞台に出演させていただくのですが、毎回、何か緩んでいたものが戒められる感じがするんです。でも、いざ本番が始まったら、毎日酒を飲んでしまいそうで怖い(笑)」

 酒で、芝居の高揚感をクールダウンするのかと思いきや、どうもそうではないらしい。

「岩松さんの舞台は、役を表面的に解釈していては、岩松さんにもお客さんにもバレてしまう。だから脚本を理解しないまま、本番を終えるぐらいがいいのかもしれないと思ったりします。だから、余計なことをせず、舞台上で起こることを大切にしたいな、と。でもそうすると、舞台では毎回出演者にしかわからない、細かい達成感やミスが生まれる。その些細な喜びや反省を、飲みながら話すのが好きなんです」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日 2018年5月4-11日合併号

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