実志願者数の順位では明治大が6.1万人でトップ。わずかな差で法政大が続き、その後は日本、早稲田、東洋の各大学だ。
実志願者が最も増加したのは前年比123%の成城大。入学センターの担当者は増加の要因についてこう語る。
「受験生を確保するために広報活動に力を入れている。高校の担当者と直接会うと相手の印象に残る。北海道や福岡の高校を訪ねるなど、地道に取り組んでいる」
その次は同117%の大東文化大。看護や歴史文化、社会の各学科を新設したことも影響した。
「新設学科の頭文字をとって、『大東文化大学に「カ・レ・シ」ができます』とテレビなどで広報したことも受験生に受け入れられた」(入試広報課の担当者)
前年比115%の東京都市大では学内に「入学センター」を設置するなど、広報活動に取り組んだ。
「支持を受け続けるためには、大学の軸となる教育と研究が、土台として安定していることが前提であり要」(担当者)
ここ3年間の増加数で見ると、東洋大が8769人で最も多く、法政大が7564人と続く。両大学とも教育改革や広報に力を入れていることで知られる。東洋大の加藤建二入試部長はこう話す。
「実志願者数を伸ばすには、その大学に入りたいという学生を増やさないといけない。取り組みやビジョン、学生をどう育てているのかなど大学の中身が問われる」
募集人員や学部数などは各大学で異なるため、実志願者数が多いところが少ないところより人気だとは、必ずしも言えない。慶應義塾大は早稲田大より少ないが、難易度では勝る学部もある。実志願者数は一つの目安として見てほしい。
併願の状況を示す新たな指標として、のべ志願者数を実志願者数で割った「併願率」も出してみた。
最も高かったのは千葉工業大の536%。学科併願の受験料を無料にし、複数試験日の併願料を割り引くなど、早くから制度改革に取り組んできた。
「理工系では機械工学とロボット工学など関連している学科が多い。それらを併願していくと高額な受験料になるので、負担を軽減してきた。併願制度を充実させることで、のべ志願者数だけでなく実志願者数も以前より増えています」(入試広報部の担当者)