文系を中心に私立大の人気は高まっている。志願者が10万人を超えるところもあるが、これはのべの数字。併願をカウントしない「実志願者数」は、これまで非公表のところが多かった。本誌は主要私大に問い合わせ、今回初めてまとめた。私大の人気の“実力”を見ていこう。
【初公開!2018年度の主な私大 のべ志願者数と実志願者数はこちら】
「近年、私立大の志願者数は大きく膨らんでいた」
こういうのは大学通信の安田賢治常務だ。今年の入試におけるのべ志願者数では、近畿大が15万人を突破。法政、明治、早稲田、東洋、日本の各大学が10万人を超えている。
大学通信によると近畿大の15万人超えは18歳人口が約205万人とピークを迎えていた1992年の早稲田大以来。その当時でも10万人超えは早稲田、明治、日本の3大学だけだった。
「少子化で18歳人口は約118万人まで減った。それにもかかわらず私立大の志願者数は12年連続で増加してきた」(安田氏)
背景には、私立大が併願制度を充実させてきたことがある。かつての大学入試は、学部・学科ごとに1回しか受けられない「一発勝負」だった。今では大学入試センター試験の結果を使った「センター利用入試」や、一度の試験で複数の学部の合否を判定する「統一入試」が広まった。「試験日自由選択制度」によって、同じ学部・学科を複数回受けることもできる。
受験料は1回あたり3万5千円ほどで何回も受けると負担が重いが、「併願割引」を導入しているところも。受験生にとってはチャンスが増え、実力を発揮しやすくなる利点がある。
大学側にとっても併願によってのべ志願者数が増えれば、自校の人気をアピールできる。こうして併願制度の充実を巡る大学間の競争が激しくなっていた。大学関係者からは「いまののべ志願者数は実態を表していない」という声もある。
そこで編集部では主な私立大について、併願の数を含まない「実志願者数」を調べた。実志願者数の定義は文末に示している。同志社大は定義と異なる数字のため「非公表」とした。