「本校には理科館があり、中1のときから多くの実験を行っています。中学生の寮は学年を交ぜた8人部屋なので、コミュニケーション能力や他者を思いやる気持ちなどが身につきます。高1と高2は個室で、高3になると寮を出て下宿します」(谷口哲生副校長)

 5位の四天王寺(大阪)は、聖徳太子が建立した四天王寺内にある女子校で、人を救う心の教育を重視。14年に医師を目指す生徒のための「医志コース」を中学に設置した。すぐ近くにある四天王寺病院や、京大医学部附属病院の見学や、卒業生の医師の講演会などを行っている。

「本校ではここ数年、医学部志望者がさらに増えています。私大にも延べ116人が合格しました。自宅から通学したいという保護者や生徒の意向もあり、地方の国公立大に合格しても、関西の私大に進学する生徒もいます」(柴田一好進路指導部長)

 同じく5位の愛光にも寮があり、全国から生徒が集まっている。

「医学部志望者はやや増加しており、学年の約3分の1が医学部を受験します。そのような環境が、さらに志望者を増やしているのではないでしょうか」(進学主任・西村克範教諭)

 8位の久留米大附設は、中3と高1の進路講座で医学・医療系の分野も設定。希望者には遺伝子組み換え実験など、特別な授業も実施している。

「現役合格できそうな国公立大医学部を選ぶ生徒が多い。合格者のうち九州・中四国の大学が約8割です。都会の国公立大医学部は厳しく、センター試験と2次試験ともに高得点が必要で、さらに強い志望理由も求められます」(名和長泰教頭)

 11位の智辯学園和歌山(和歌山)は私大医学部にも40人が合格したという。

「医学部志願者の割合は増えています。和歌山県立医科大では2段階選抜が実施されなかったため、強気に出願した生徒たちは2次試験で挽回(ばんかい)しました」(坂口博紀教諭)

 このほかトップ30で注目されるのは、札幌南(北海道)や本(熊本)、新潟(新潟)など地方のトップ公立高が入っていることだ。卒業後に地元勤務を条件とする「地域枠」もあるため、東大や京大を始めとする旧帝大を狙える公立高の優秀な生徒が、地元の医学部に進む流れは強まっている。(庄村敦子)

週刊朝日 2018年4月27日号より抜粋

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