首都圏では大企業の社員や国家公務員など、医師以外の選択肢が豊富だ。大企業に就職しやすいと思われている文系は近年人気で、「文高理低」の傾向がある。難易度が高止まりし、入りにくい医学部を敬遠する動きも出ている。

 また、トップ30には寮を持つ高校が多いのも特徴だ。ラ・サール(鹿児島)や愛光(愛媛)、久留米大附設(福岡)や西大和学園(奈良)など約3分の1を占める。寮生活を通じて勉強する習慣や、医師に求められるコミュニケーション能力などが身につくという。

 合格者数のトップは11年連続で東海(愛知)。130人と唯一「3桁」に達している。かつて愛知は旭丘、岡崎といった県立高校が東大合格者数トップだった。現在は東海が東大、国公立大医学部ともに県のトップとなった。

 愛知県には国公立と私立の医学部がそれぞれ2大学あり、岐阜や三重、静岡という隣県の国立大医学部にも通いやすい。医学部人気は全国の中でも高く、東海でも国公立大医学部が第1志望の現役生が目立つ。

医学部受験に特化した指導は行っておらず、生徒の自主性に任せています。医師の子どもが多く、医学部人気が高いことから、医学部志望が多いです」(杉浦一輝学習指導部長)

 2位は洛南(京都)。2013年に、最難関大や医学部に挑む「空パラダイムコース」を設置し、学習合宿や自学自習会などで学力を伸ばしている。

「自宅から通える近畿圏の国公立大医学部を目指す生徒が多い。合格大学や家庭状況で一概には言えませんが、地方の国公立大と近畿圏の私大に合格した場合、男子生徒は前者、女子生徒は後者を選ぶ傾向があります」(杉山浩之教諭)

 3位は灘(兵庫)で、最難関の東大理IIIに15人、京大医学部に22人合格した。国公立大医学部と東大・京大の合格者数(浪人生も含む)が卒業生数に占める「占有率」は、86.8%と驚異の数字を誇る。卒業生数は219人と東海や洛南の約半数で「少数精鋭」だ。和田孫博校長はこう話す。

「本校では相変わらず医学部人気が高い。東大、京大だけでなく阪大など、地元の国公立大医学部を目指す者も多い。卒業生では地元の私大を選ぶ者もいます」

 4位のラ・サールは国公立大医学部と東大・京大の占有率が59.1%と灘に次いで高い。全国から優秀な生徒を集めており、7割前後が寮生活をしている。

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