多焦点レンズが合わない人もいるという。
「乱視が強い人、不正乱視がある人、瞳孔の大きさが2ミリ以下の人などは期待どおりの視力が出ないこともあります」(佐々木医師)
同じ度数のレンズでも、眼の表面のカーブ、眼の奥行きなどによって、見え方は一人ひとり異なる。多焦点レンズを検討している場合は、精密な検査ができる病院で手術を受けたほうがよいだろう。
■術後の見え方に異常を感じたら?
手術後の見え方にどうしても満足できない場合は、レンズの交換をする場合もある。
「眼内レンズの交換手術をする人は700~800人に1人ぐらいの割合でいます。レンズの交換は術後3週間以内におこなうのを基本としています」(杉田医師)
また見え方に納得がいかない場合は、レーザーを使って見え方を調整したり、眼内レンズをもう1枚足したりすることもある。
白内障の手術を受けた数カ月~数年後に再び、まぶしい、眼がかすむなど、白内障のような症状が現れることがある。
「手術のときに残しておいた水晶体の後嚢がにごったために起こる後発白内障です。にごりは外来でレーザーを使って簡単に取れ、視力も回復します」(稲村医師)
白内障は両目同時になる場合もあれば、左右で進行に差がでることもある。
「両目を治療する場合、症状の重い眼のほうを先に手術することが多いです。その後はケース・バイ・ケースですが、たとえば手術していないほうの眼があまり悪くなければ、しばらく待ってもよいでしょう。かなり悪くなっていると感じれば、あまり時間をおかずに手術をしたほうがよいでしょう。手術をした眼としていない眼との見え方に大きな差がでて我慢できない場合も、早めに手術します」(同)
(文/植田晴美)
※週刊朝日ムック『眼の病気&老眼がまるごとわかる2018』から抜粋